個人事業主が源泉徴収票を理解するためのガイド

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「個人事業主が源泉徴収票を理解するためのガイド」というタイトルを聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?日本で個人事業を営んでいる方にとっては重要な話題であり、源泉徴収票という言葉は身近なものです。しかし、事業を始めたばかりだったり経理に苦手意識があれば、実際にその中身を理解しにくいものです。今回のブログでは、個人事業主が源泉徴収票を簡単に理解するためのガイドをご紹介します。税金に関する知識がまったくない方でも、分かりやすく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

もくじ

個人事業主が知っておくべき源泉徴収制度

基礎知識

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個人事業主が知っておくべき源泉徴収制度の基礎知識について解説します。この制度は、個人事業主が報酬を支払う際に、あらかじめ所得税等を差し引いて支払い、代わりに国に納税するしくみです。所得税の前払いと位置づけられます。

源泉徴収は源泉徴収制度で定められており、受取る側の所得税の申告忘れや申告漏れなどを防ぐために導入されました。また、源泉徴収率については、事業の種類によって異なります。足の早い支払いに対して先に税金を取るというイメージです。こういったものが対象です。例えば、給料。これは源泉徴収がされます。理由は使ってなくなってしまえば税金が取れないからです。なくなる前に取ってしまうのです。

では、個人が受けた場合に源泉徴収されるものはどんな内容でしょうか。

1 原稿料や講演料など。ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が50,000円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。

2 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金

3 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

4 プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金

5 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金

6 ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金

7 プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金

8 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

ここから、税理士が講演を受けても取られます。

違反はバレやすい

源泉徴収制度の違反というのは、比較的明確になりやすいです。源泉徴収をしない、納めないとなると、延滞税が取られてしまいます。これが違反した場合の罰則です。機械的に処理をされてしまいますので、もらう場合も気をつけたいですが、払う場合も気をつけたいです。

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源泉徴収票は、確定申告と密接に関係する書類です。個人事業主が給与を支払い、給与所得者に源泉徴収を行っている場合、その従業員は確定申告時に源泉徴収票を提出する必要があります。また、個人事業主自身が源泉徴収を受けた場合にも、確定申告時に源泉徴収票を提出することが必要です。

源泉徴収票には、受け取った源泉徴収額、所得税、住民税などの情報が含まれています。確定申告時には、この情報を基に各種控除や還付額の計算が行われます。

先程、源泉徴収税が所得税の前払いとお伝えしました。ということは、前もって計算した金額は、所得税として納付する金額から除外されます。例えば、納税金額が100万円だったとして、源泉徴収税額を50万円取られていたとします。この場合、50万円だけを追加で納めて完了します。もう一つ例示。確定申告をして納付金額が40万円だったとして、源泉徴収税額を50万円取られていたとします。この場合には、確定申告をすると10万円戻ってきます。

個人事業主が給与を支払う際に気を付けるべき源泉徴収票の事項と手続き

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源泉徴収票と確定申告の関係

税務署への提出

個人事業主が給与を支払う際には、源泉徴収票について注意が必要です。源泉徴収票には、支払った給与額や源泉所得税額、年末調整の有無などが記載されています。正確な情報を記載し、2通の源泉徴収票を作成し、下記に該当する場合、うち1通は税務署に提出することが必要です。

税務署に源泉徴収票を提出する必要がある場合

  1. 法人の役員(現に役員をしていなくても、その年中に役員であった者を含みます。)については、その年中の給与等の支払金額が150万円を超えるもの。なお役員には、相談役、顧問その他これらに類する方が含まれます。
  2. 弁護士、司法書士、税理士等については、その年中の給与等の支払金額が250万円を超えるもの
  3. 上記(1)および(2)以外の者については、その年中の給与等の支払金額が500万円を超えるもの。なお、上記(2)の弁護士等に対する支払は、給与等として支払っている場合の提出範囲ですので、報酬として支払う場合には、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出することとなります。

また、源泉徴収票の提出期限には注意が必要です。期限は、翌年1月31日までとなっています。個人事業主が従業員を雇用する場合は、源泉徴収制度に関する知識を深めることでスムーズな事業運営ができます。

税務署への提出例示

例えば、給料が600万円の従業員がいた場合、その源泉徴収票の提出が必要です。

弊事務所の場合は、電子申告で行っております。国税庁が電子申告を勧めているという理由だけでなく、手元に紙が増えるというのは個人事業主にとって効率化の妨げになります。データでお渡しして、見たいときに開けば充分です。

源泉徴収票は給与や賞与から差し引かれた所得税や社会保険料、住民税控除分などが記載された書類であり、従業員に対して必ず発行する必要があります。

源泉所得税の納期の特例

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個人事業主が源泉徴収票を理解するためのガイドの中で、源泉所得税の納期の特例についても触れておきたいです。通常、源泉徴収義務者は徴収した源泉徴収税を月次で納付することが求められます。3月に給与を支払えば、翌月10日の4月10日までに源泉徴収税額を国に納めなければなりません。

しかし、従業員の給与支払人数が常時10人未満である場合は、年2回に分けてまとめて納付する特例があります。具体的には1月と7月に支払えば足りるのです。納付回数も減りますし便利です。この特例を受けるためには、所轄の税務署に源泉所得税の納期の特例の承認を申請する必要があります。

申請により、1月から6月までの期間については7月10日まで、7月から12月までの期間については翌年1月20日までにまとめて納付することができるようになります。効率化を目指す意味でも、この特例制度を知っておくことが大切です。

個人住民税の特別徴収との違い

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個人住民税の特別徴収と源泉徴収は、納税者に対する負担において異なる点があります。源泉徴収は給与や報酬を支払う側が差し引いて納めるため、納税者は年末になって調整をする必要がなく、翌年の確定申告も簡単になります。しかし、個人住民税の特別徴収は事業者が毎月従業員に支払う給与から差し引き、代わりに納付するため、納税者は確定申告で再度計算する必要があります。

どちらも給料から引かれるので似たようにとらえられがちです。しかし、根本的に違いますので、分けて理解しておきましょう。

確定申告で源泉徴収票の提出が必要ない理由

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源泉徴収票の提出が確定申告で必要ない理由は、税制改正により、2019年4月1日以後に提出する2019年分の確定申告書類からは、源泉徴収票の添付が不要になったからです。

確定申告時には、会社が発行した源泉徴収票に書かれた支払金額や控除後の金額を転記する必要がありますが、必ずしも添付する必要はなくなりました。源泉徴収票の代替方法としては、給与所得の内容がわかる書類を添付することができます。例えば、給与明細書や給与支払報告書などが挙げられます。個人事業主は、自身が源泉徴収する場合もありますので、源泉徴収の基礎知識を把握しておくことが重要です。

源泉徴収の納付を忘れてしまったら?

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源泉徴収を失念してしまった場合、業務上迅速に対応することが求められます。まず、相手方に事情を説明し、源泉所得税分を返金していただくことが必要です。さらに、返金された源泉所得税分を国に納税する処理を行わなければならないことも忘れてはなりません。なお、源泉徴収しなかった場合には、支払者にペナルティが課されることに留意してください。また、従業員や士業等から源泉所得税を取り忘れた場合は、追加で徴収しておくことが望ましいとされます。こうした問題に遭遇した場合は、税理士又は税務署にご相談いただくことが大切です。

重要なところをしっかり守って、効率化につなげてくださいね。

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