Non-EU/EEA Certificateとは
Non‑EU/EEA Certificate(非EU・非EEA証明書)は、EU(欧州連合)やEEA(欧州経済領域)の外に居住する個人・法人が、EU諸国の行政・税務機関に対して「自国の居住地・所得・課税関係」などを証明するための書類です。
Non-EU/EEA Certificateはドイツでの名称です。これはドイツだけでなく、オーストリア・オランダ・スペインなどEU加盟国全体で活用されている制度です。
EU各国の公文書やガイドラインでは、次の英語表現が汎用的に使われています。
用語 | 主な使用目的 |
---|---|
Non‑EU/EEA Certificate | ドイツなど一部の税務局が正式フォーム名として使用 |
Third‑Country Residence Certificate | オーストリアやスペインなどの共通訳語 |
Certificate of Tax Residence (for Non‑EU Residents) | EU各国共通の代替書類(租税条約適用用) |
書類の背景と目的
EU・EEA加盟国の居住者同士は、条約で税務や社会保障の情報を自動的に共有する仕組み(いわば「共通の居住証明」)を使えます。一方で、日本やアメリカなどの非EU/EEA国の居住者は、その枠組みが使えないため、ドイツなどのEU税務当局から「自分がどこに住み、どの国で課税されているのかを証明する書類を提出してほしい」と求められる場面が出てきます。
そこで使用されるのが「Non‑EU/EEA Certificate」です。
この証明書の目的は次の2つです。
- 税務上の「居住者認定」
非EU国居住者でも、生活と所得の大部分がドイツ(あるいは他のEU加盟国)にある場合、
ドイツ税法上の「居住者(unbeschränkte Steuerpflicht)」として扱ってもらうための証明です。
→ これにより、扶養控除・配偶者控除などEU居住者と同様の税制優遇を受けられます。 - 国際的な所得申告の裏づけ
租税条約の適用や二重課税調整のため、他国での課税状況をドイツの税務署(Finanzamt)に示す資料として使われます。
必要とされる場面
こういった場面で求められることが多いです。
- ドイツ国外に住みながら、ドイツ国内で所得を得ている場合(部分的納税者)
- ドイツの税務署に「居住者扱いに変更したい」「控除を受けたい」と申請する場合
この際、「Non‑EU/EEA Certificate」に居住国(たとえば日本)の税務署の署名・印が必要とされます。
実務上の取扱い
ただし、日本で証明書に署名できる法的権限が税務当局に存在しないため、実際には署名が得られません。日本が遅れているという言い方をする方もいますが、そういうことではありません。
アメリカの例を見てみましょう。
アメリカでもNon‑EU/EEA Certificateに公式にはサインがされません。
法的な根拠はこちらです。
- 10.10.1.3.1(Requirements for Legally Binding Electronic Signatures)4番目の要件
There is a means to identify and authenticate a person(s) as the signer(s) in accordance with IRM 10.10.1.3.1.4, Identifying and Authenticating the Signer, and the signer must be authorized to execute the document.」
→ 署名者を識別・認証する手段が必要であり、かつ「署名者はその文書を執行(署名)する権限を持っていなければならない」と明記。IRMPart 10. Security, Privacy, Assurance and Artificial Intelligence 10.10.1 IRS Electronic Signature (e-Signature) Program
これは、米国内法(Internal Revenue Code)上、IRSの職務が「連邦税務目的に限定される」と定められているためです。このため、ドイツ側でも代替として「納税証明書」や「Tax Residence Certificate(居住証明書)」を提出する対応が取られています。
日本での代替手段
日本でも同様です。
居住者証明書については、日本のフォームで証明することが可能です。また、居住だけであれば、相手国の証明書にサインをしてくれる場合もあります。
しかし、納税額を同時に証明することはできない旨回答があります。
そのため、証明をする際には、その方法をよく確認しましょう。一般対応では、非EU証明を得ることはできません。個別対応で、日本のその地域の税務署が対応してくれる可能性がないとはいいきれません。しかし、一般的には対応ができなことを公表していることは、理解しておくといいでしょう。