外国人向けの健康保険料前払制度、導入の動向

執筆者小嶋 晃弘

◆国際基督教大学卒、大阪府立大学大学院経済学研究科修了。税理士、MBA、宅地建物取引士。国際営業、経理、労務、採用、人事、IT管理など幅広い分野での実務経験があります。 ◆税理士の顧問サービスの他、企業オーナーや個人事業主に対して資産運用コンサルティングや税務サポートを提供。金融教育の重要性を感じ、税務関連の執筆活動にも取り組んでおり、税務に関する書籍や記事を執筆しています。 ◆プライベートでは、2人の男の子の父。趣味は水泳、読書、カメラ、アニメで、休日には息子たちと一緒に自然を楽しんでいます。

2026年4月2日

2026年4月7日

Non-Japanese向けに、健康保険料の前払制度の話が報道されています。
ここについて、どのように変わるか、変更を確認していきましょう。

前払制度の導入

外国人の国保前払いは「全国一律で開始した制度」ではなく、「自治体が選択して導入できる新しい仕組み」という位置づけです。

厚労省が、外国人らへの国保保険料前納を可能にする条例参考例を2025年10月29日付で自治体に通知しています。各市区町村が条例改正をすれば、早ければ「翌年度(令和8年度=2026年度)から」前納を導入可能となります。

対象とされているのは「保険料を課す前年度1月1日時点で日本に住民登録がない世帯主」=海外からの転入者(外国人だけでなく、一度帰国していた日本人も含む)とされています。

導入予定の市区町村

実際に前納をやるかどうか、何年分を求めるかは自治体ごとの判断です。
今すでに手を上げているのは、新宿区です。2026年度から、新規の外国人加入者に原則1年分一括前納を求める方針です。

報道でも「全国的にも珍しい」とされており、現状は“先行モデル”的扱い

大阪市など大阪府下の市区町村も調べましたが、まだ様子見です。

「前払い」かたちと金額の決まり方

イメージされている基本形は「加入手続き時に1年分などをまとめて支払ってもらう」方式です。前納させることができる上限は「最大1年分」と示されている解説が多いです。

金額自体の算定方法は従来の国保と同じで、下記などを使って算出し、それを「本来の納期限より前に払わせる」だけという扱いです。

  • 前年所得、
  • 世帯人数・加入者構成、
  • 各自治体の料率・均等割・平等割

つまり運用イメージとしては、

  • 2026年5月に新宿区に転入した外国人が国保加入
  • 資格発生:転入月(5月)から保険料計算。
  • 説明:窓口で「あなたの世帯は前納対象なので、今年度分は1年分一括前納になります」と案内。
  • 納付:6月(第1期)に、その年度分(5〜翌3月分相当)を一括納付するよう求められる、というイメージ。

所得税の控除には必ず入れよう

前納した国保保険料は、社会保険料控除については「支払った年」に全額控除できる扱い(年払いなどと同じ考え方)です。従って、支払をすれば、所得税の課税所得、住民税の課税所得を下げることにつなげられます。

滞納対策の観点から、前納と合わせて「滞納者は在留資格変更・更新を認めない仕組み」も2027年6月頃から導入予定と報じられていますので、在留資格実務とも連動してくる可能性があります。

まだ決まっていない・自治体で差が出るところとして、前納を「必須」にするのか「原則お願いベース」なのかというところです。様子見をしている自治体も多いので、まだまだ、動きはこれからです。

ご興味がありそうな他の記事はこちらです。

社会保険の未納がビザの更新に影響するのは2027年以降

社会保険の未納がビザの更新に影響するのは2027年以降

ビザの更新が厳格化される動きが昨今多いです。2025年の時点で、経営管理ビザの厳格化と言う話は既に出てきています。 ここに加えて、社会保険についても、しばらく動きが出てきそうです。 厚生労働大臣の2025年11月4日の会見...