日本の確定申告のために英語で記帳・記録できますか?

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執筆者小嶋 晃弘

◆国際基督教大学卒、大阪府立大学大学院経済学研究科修了。税理士、MBA、宅地建物取引士。国際営業、経理、労務、採用、人事、IT管理など幅広い分野での実務経験があります。 ◆税理士の顧問サービスの他、企業オーナーや個人事業主に対して資産運用コンサルティングや税務サポートを提供。金融教育の重要性を感じ、税務関連の執筆活動にも取り組んでおり、税務に関する書籍や記事を執筆しています。 ◆プライベートでは、2人の男の子の父。趣味は水泳、読書、カメラ、アニメで、休日には息子たちと一緒に自然を楽しんでいます。

2024年9月30日

2024年10月11日

日本で事業を運営する外国企業や、主に英語を使用する企業にとって、帳簿を英語で作成することは便利に思えるかもしれません。しかし、税務申告や日常の経理業務においては、いくつかの重要な点を考慮する必要があります。この記事では、英語での帳簿作成が可能か、また税務申告における言語要件や、効率的な運用方法について解説します。

公式書類の言語要件

法律上は、言語の設定はないため、書類を英語で作成することは可能です。

しかし、日本の税務署に提出する公式書類(確定申告書や決算書など)は、原則として日本語で作成する必要があります。あるいは、必要に応じて翻訳して提出しなければなりません。これは税務署が書類を審査しやすくするための要件であり、その意味で英語のみの提出は認められていません。そのため、公式な提出書類はおおよそ日本語で準備する必要があると理解しておいていいでしょう。。

厳密に定めた法律ではなくても、税務当局とやり取りする際には、日本語以外の文章について、日本語に翻訳した資料を提出するように言われます。

この逐一の翻訳作業をすることが個人事業主や中小企業に可能なのかと考えると、かなりの手間です。最初から日本語で作成しておくのが素直でしょう。

税務申告書類と会計書類の統一

日本では、税務申告書類と会計書類を統一して管理することが一般的です。
内部の営業管理の書類は、税務署に提出しないので、この範囲には含まれていません。しかし、帳簿については、会計規則ではなく税務規則に沿って作成することが一般的です。

これは、諸外国と異なる方針かもしれません。
税務用の会計帳簿というのは認められていないのです。税務申告の際に帳簿と書類が一致していることが求められるためです。二重帳簿を避け、一本化された帳簿を使用する必要があります。仮に数字が同じであっても、二重帳簿の誤解を受ける処理は、管理や翻訳にかかる手間が大きくなるため、企業にとっても非効率です。

逐一翻訳のコストと効率化

日本語に統一する理由として、勘定科目が日本語で定義されているからです。

仮に、最終的な勘定科目を日本語に直すと考えたとしても、英語で作成した帳簿を日本語に逐一翻訳することは、時間とコストがかかります。特に、税務署に提出する際には、正確な翻訳が求められるため、専門的な翻訳者を雇う必要が出てくるかもしれません。これが積み重なると、経理業務全体のコストが増加する可能性があります。そのため、最初から日本語で帳簿を作成する方が、長期的にはコストの削減と効率化が期待できます。

ウェブ翻訳の活用

コストを抑えながらも必要に応じて翻訳ができる方法として、ウェブ上の翻訳ツールを活用する方法もあります。これにより、緊急に翻訳が必要な場合でも迅速に対応でき、費用も抑えることができます。

弊事務所で使っているfreeeは、ウェブ上のソフトウェアであるため、Google翻訳などで見せることが可能です。

それで見にくいと言われることがあります。この場合、Google Spreadsheetなどに、勘定科目を翻訳した財務諸表を提供するサービスもしております。これはあくまで補助的なものですが。

必要に応じた翻訳提供

国際的な事業を行う企業や、外国人投資家などに対しては、必要に応じて勘定科目を翻訳した財務諸表を提供する場合もあります。このような対応をすることで、英語を使うステークホルダーにも十分な情報提供が可能になりますが、これはあくまで補助的な対応であり、税務的な公式な提出書類は日本語で統一することが基本となります。

まとめ

帳簿を英語で作成することは可能ですが、税務の公式な提出書類は日本語で作成しなければなりません。税務申告書類と会計書類を統一して管理することが推奨され、二重帳簿を避けるためにも、日本語で一貫した帳簿を作成する方が効率的です。

翻訳コストの削減や業務効率の向上を考慮し、必要に応じて英語訳を提供する形で対応することが、国際的な事業展開においても効果的な解決策となるでしょう。

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