あなたが個人事業主であれば、事業を開始する前に受け取った収入が事業所得とみなされるかどうか疑問に思うかもしれません。税理士への相談でもよくあるこのトピック。ここでは、事業を開始する前に受け取った収入が会社の利益の一部と見なされるかどうかを判断する方法と確定申告での注意点について説明します。詳細については、読み進めてください。
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開業届を出す以前の収入は、事業所得にならないか?
「開業届」はいつまでに出さないといけないか
所得税法第229条により、開業の事実の日から1ヶ月以内に税務署に開業届を提出することが法的に義務付けられています。提出が遅れても罰則はありませんが、青色申告書が使えたり、銀行での口座開設などの証明書代わりになったりなど、さまざまなメリットがあります。したがって、開業届は、開業日から1ヶ月以内に提出することが望ましいです。
なお、遅れたとしてもちゃんと提出をしましょう。今回の話は、開業届を出すのが少し遅れたという場合です。確定申告時に出していない状態であれば、自己認識として事業を開始しているか疑われることになります。通常は1ヶ月以内なので、その12月に事業所得があると自分で分かっている場合は、1月までに確定申告を通常提出することになります。また、ややこしくなる場合には、税理士を入れたほうがいいです。通常以外のやり方をするのなら、コストをかけておいた方が安全です。
「開業届を出す以前の収入」とは?
しかしながら、きっちりと事業と認識できないまま事業を始める場合も存在します。気づいたら事業を開始していたという場合も、現実にはあるのです。
このような場合に、開業届を出す以前の収入が出てきます。ただし、認識をしたらすぐに提出をしましょう。申告などは民法上の意思も尊重して自己認識が大切です。
「事業所得」とは?
事業所得とは、事業を営むことで得られる収入のことです。農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業に従事する者の所得を含みます。ただし、不動産賃貸料、山林収入、譲渡所得は事業所得に含まれません。個人事業主や著名人、競馬の騎手などの事業も事業所得とみなされます。一般的に、事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業のに該当するビジネスを行うことによって得られるお金です。
言い換えれば、ビジネスを通じて個人が稼いだお金です。
「開業届を出す以前の収入が事業所得になるか」について
一般的には、開業届を出す前の収入は、事業収入として計上することができます。雑所得として扱われるケースもありますが、事業所得として申請することは可能です。例えば、4月1日に開業届を出し、同年1月から3月までに10万円の収入があった場合でも、事業所得となります。
ちゃんと意味合いは整理しておきたいところです。この場合の1-3月の収入は、開業前の期間ですが、その後の事業として定着するかどうかを判断するための期間といえるかどうかということです。該当すれば、事業所得であり、そうでなければ雑所得として扱われます。
個人が給与として受け取る収入は基本的に事業とは関係ない
個人が給与として受け取る収入は、基本的に事業とは関係がありません。つまり、会社員として働いている場合、その収入は事業所得ではなく、給与所得という扱いになります。また、副業としてアルバイトなどを行っている場合も同様です。
個人事業主が請負をしているのか、会社員として働いているかは、きちんと区別しておきましょう。業種によっては、この区別はあいまいかもしれません。民法上を考えれば意思をしっかりと示しておく、後から追えるように書面にしておくのは大切です。収入が事業所得に該当するか、給与所得に該当するかを判断する際には、個人の状況に応じて適切に申告することが重要です。なお、この区分は恣意的なものではありません。
収入発生後に開業届を提出しないと収入は雑収入として扱われる可能性
収入発生後に開業届をずっと提出しない場合、その収入は雑収入として扱われる可能性があります。開業届を提出することが必須ではありませんが、開業するという意思表示は大切です。収入が事業所得として扱われれば、必要な経費の控除など税務上のメリットがあります。開業前に受け取った収入も同様で、開業届を提出することで事業所得として扱うことができます
言い訳をしなくていいように用意をしましょう。その年の確定申告書での開業届の有無は、事業所得に扱えるか雑所得になるかの素地を決めます。提出期限を過ぎてから申請する場合は、雑収入として扱われるか、扱わざるを得ないことがあるため、開業前から収入発生が予測される場合には、区分をはっきりさせるためにも早めに開業届を準備することが重要です。
開業前期間の収入の物品が開業後の販売商品なら事業所得に該当する可能性高し
開業前期間に行った収入が開業後の販売商品に該当する場合、その収入は事業所得に該当することがあります。つまり、開業前に受け取った収入も事業所得に含まれる可能性があるということです。 予見性を持ちにくいという言い訳があるかもしれませんが、こういう場合には、開業届をいつでも出せるように、申告時期をまたがない程度で早めに提出するべきです。
また、開業前の期間に収入が発生した場合、開業届を提出していない場合には、その収入は雑収入として扱われる可能性があるため、事前に十分な注意が必要です。「事業所得が有利だから」と考えるなら、きちんと申請や体制を準備しておくべきです。普段はしたくないけれども、申告だけ事業所得にして美味しいところどりをしたいという気持ちは分かります。しかし、繰り返しになりますが、きちんと届け出や証拠を用意しておくべきです。
また、逆に、開業届さえ出せば事業所得になるわけではありません。脱税で捕まった事案を見ると、「事業として投資をして損を出して、それを給与所得と損益通算をする」というやり方がありました。このやり方を指南した人は逮捕されています。
開業前期間の収入を事業所得に該当する可能性が高い場合には、事前に税理士や会計士などの専門家に相談することが望まれます。
副業?開業前の収入? 事業所得にならない例
開業前の収入による事業所得の代表的な例は、個人事業主が事業を営んで収入を得た場合です。この利益は事業所得に分類され、事業を開始するまでの期間を使用して、事業が実行可能かどうかを判断できます。
開業届の有無というよりも、本業の収入であるかどうかをよく考えておきましょう。本業の事業付随行為ということであれば、事業所得に含まれると考えます。関連する費用も必要経費として計上されます。
しかし、副業や趣味、お小遣い稼ぎなどの場合は、雑所得です。税理士にきちんと説明できるくらいの関連性があるかは、確認しておきたいです。
開業前の収入が事業所得になる場合の確定申告の方法
サラリーマンと違い、個人事業主の場合は、確定申告が必要です。
青色申告を行う方がほとんどですが、青色申告特別控除
一般的に、開業前の所得を事業所得として確定申告を行う場合、個人事業主として得た年間所得を所得控除から差し引く必要があります。金額がプラスの場合、確定申告書を提出する必要があります。ただし、48万円以下の場合は所得税はかかりません。したがって、確定申告書を提出する際には、必要な控除がすべて考慮されていることを確認することが重要です。
なお、青色申告を受けるための基本的な要件はこの3つです。
青色申告特別控除の要件
- 不動産所得か事業所得がある
- 正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳している
- (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出する。
個人事業主の方は、所得税を正確に計算して納付するために、確定申告をする必要があります。確定申告の提出期限は納税期限と同じで、通常は翌年の3月15日です。請求書、領収書、銀行取引明細書などの書類は日々まとめておく必要があります
税理士への相談も視野に
この記事が、確定申告のプロセスを理解するのに役立つことを願っています。ご不明な点がある場合、または個別の状況についてご相談したい場合は、お問い合わせください。
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