寄付金の控除についての概要|税理士 相談 にて
税理士 相談の概要
寄付金の控除は、日本の税制において寄付金を行った場合に、その寄付金額を所得から差し引いて納税額を減らす制度です。税理士への相談でもいただきます。
寄付金の控除は、公益的な活動を支援するための制度です。個人でも法人でも使えます。寄付をすれば、税金を払う力が減ります。だから、「その分税金を安くしようね。」というのが趣旨です。
なお、法令など公共の文書では「寄附」の字が当てられます。みなさんが日常で使うときは、「寄付」です。当てる字以外に差はないと考えてください。
寄付金控除は所得税や法人税だけでなく、住民税や法人法人税にも適用されます。寄付金控除を活用することで、社会貢献が認められた上で税金の負担を軽減することができます。
所得税の寄付金控除の仕組み
所得税の寄付金控除の仕組みは、所得金額に対して寄付金の一部を差し引いて納税額を減額する制度です。個人の場合は、所得税率が累進課税ですから、人によってお得になる率は変わります。
例えば下記の例で考えましょう
想定例
- 年収400万円
- 妻、子ども2人
- 会社勤め
給与所得控除を受けた後の金額は276万円とみれます。
ここから、社会保険料、生命保険料、地震保険料、配偶者控除、基礎控除を引いてきます。引いた後の金額を概算で159万円と仮定します。
所得税が79,500円、住民税が159,000円となります。
寄付をすると安くなる税金は下記の計算です。
寄付控除の考え方
次の(1)または(2)のいずれか低い金額 – 2000円 = 寄附金控除額
(1) その年に支出した特定寄附金の額の合計額
(2) その年の総所得金額等の40パーセント相当額
ここから、例えば、2万円を寄付して控除できる場合、
寄付控除できる例
2万円-2千円=18,000円
というわけで、18,000円が安くなります。
では、所得税を安くできる寄附金はどんなものでしょう。
日本の所得税の寄付金控除
日本の所得税の寄付金控除の対象となるもの
寄付は、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し行うものです。
寄付控除の対象
- 公益社団法人等:特定の基準を満たす公益社団法人や公益財団法人への寄付金が対象となります。
- 認定・特例認定NPO法人:こちらも対象です。
- 政治団体は、政党寄付金特別控除という制度で対象となっており、違う法律の枠組みです。
- 寄付金控除の対象外:個々の人や団体への直接的な寄付金や、国外への寄付金は対象外です。
詳細な情報は、国税庁のウェブサイトや税務署の窓口で確認することができます。
Wikipediaを考えた際に、対象となりそうなのは、認定・特例認定NPO法人ですね。
公益社団法人等
特定公益法人はなんでしょうか。
このように定義されています。
公益法人等のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するもので一定のもの(「特定公益増進法人」)に対するその特定公益増進法人の主たる目的である業務に関連する寄附金については、寄附金控除等の税制上の措置の対象とされています。
○ 上記「一定のもの」とは、次の法人をいいます。
・ 独立行政法人
・ 地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするもの
・ 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
・ 公益社団法人及び公益財団法人
・ 私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置若しくは学校及び専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの
・ 社会福祉法人
・ 更生保護法人(注) 従前一定の法人が特定公益増進法人とされていた旧民法第34条法人については、公益法人制度改革により、公益社団・財団法人又は一般社団・財団法人へのいずれかに移行等をすることとされ、平成25年11月30日をもってその移行期間が満了しました。
財務省「特定公益増進法人」2024年2月10日 最終確認。
認定・特例認定NPO法人
認定NPOに登録されているかは、こちらのサイトから確認できます。
一覧で見たい方はこちらのPDFからどうぞ。
Wikipediaが寄付控除の対象に入るか
日本の所得税法によると、寄付金は一定の条件を満たさなければ控除対象となりません。
例えば、日本国内で認定を受けた公益社団法人や一定の公益団体への寄付金は、所得税の控除対象となります。ここから、Wikipediaは日本国内での公益団体ではないため、寄付金は所得税の控除対象にはなりません。寄付金の控除を受ける場合は、日本国内の公益団体に寄付を行う必要があります。
アメリカとカナダの法律
アメリカでは、非営利団体への寄付金は一定の条件を満たす場合に控除対象となります。アメリカにおいて、所得税の控除が受けられる可能性があります。カナダでも同様です。
詳しくは、Wikimediaの説明をご確認ください。
米国
Wikimedia財団は、米国内国歳入法第501条 (c)(3) 項に基づき、米国で設立された非営利慈善団体 (納税者番号20-0049703) であるため、米国内の個人または団体からの寄付金は、税控除の対象となる場合があります。連邦内国歳入法第501条c項3号に基づく地位確認状のスキャン画像
カナダ
Wikimedia Foundationは、米国の内国歳入法で第501条(c)(3)団体であるため、カナダの税法は一般に、Wikimedia Foundationへの寄付を米国の課税所得からのみ控除することを認めています。 米国・カナダ租税条約. 第21条第6項が参考になるかもしれません。このような寄付金の控除に関する詳細については、税務専門家にお問い合わせください。
その他の国
Wikimedia財団は、米国内国歳入法第501条 (c)(3) 項に基づき、米国で設立された非営利慈善団体であるため、米国内の個人または団体からの寄付金は、税控除の対象となる場合があります。 米国外の個人または団体からの寄付金は、米国およびその他の国の税金控除の対象とならない場合があります。このような場合、寄付者は地元の税金アドバイスを受けてください。 重要なこととして、Wikimediaは、Wikimediaのような国際慈善団体による募金活動が禁止または制限されている司法管轄区内、あるいは国際慈善団体への寄付金に贈与税が課せられる司法管轄区内に所在する個人または団体からの寄付を求めようとするものではありません。 英国におけるギフトエイド (Gift Aid) はWikimedia財団への寄付金には適用されません。
Wikimedia「税金の控除について」2024年2月10日最終確認。
日本の所得税の適用について考える必要がある
結果的にWikipediaへの寄付金は、日本の所得税を考えると控除対象になりません。
所得税の寄付金控除を受けるには、日本の法律に基づいて条件を満たす必要があります。しかし、税金が安くなるかどうかだけで自身の行動を決めるのは本末転倒です。税制として理解しつつ、お薬に立ちたい団体に対して、ぜひ寄附はしていただければと考えます。
所得税の相談など必要あれば、ぜひ、お問い合わせください。