個人事業主が確定申告前に押さえておくべき13のチェックポイント

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執筆者小嶋 晃弘

◆国際基督教大学卒、大阪府立大学大学院経済学研究科修了。税理士、MBA、宅地建物取引士。国際営業、経理、労務、採用、人事、IT管理など幅広い分野での実務経験があります。 ◆税理士の顧問サービスの他、企業オーナーや個人事業主に対して資産運用コンサルティングや税務サポートを提供。金融教育の重要性を感じ、税務関連の執筆活動にも取り組んでおり、税務に関する書籍や記事を執筆しています。 ◆プライベートでは、2人の男の子の父。趣味は水泳、読書、カメラ、アニメで、休日には息子たちと一緒に自然を楽しんでいます。

2023年4月1日

2023年8月23日

確定申告の季節は過ぎましたが、いずれまたやってきます。毎年同じことを繰り返すのに、いつも何かしら忘れてしまうことはありませんか?そこで今回は、確定申告前に押さえておくべき13のチェックポイントをご紹介します。

これらをしっかりと押さえておけば、スムーズな申告ができるだけでなく、失敗やミスを防ぐこともできます。可能であれば毎月チェックをしておくと確定申告の時期に焦らずに処理ができます。では、早速始めましょう!

13の簡単な確認チェックポイント

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確定申告前に押さえておくべきチェックポイントの中でも、13のおおまかな確認が始めやすいです。その中には、現金預金や売上、売掛金、買掛期、預り金、借入金、家事あん分、プライベートな支出、固定資産の取扱い、減価償却の方法、棚卸し資産、控除、資料の保存などがあります。これらを確認することで、確定申告時に誤りがないかをチェックし、税務調査官による調査に備えることができます。

細かく見ていきます。

現金預金の残高が合っているか

確定申告前にチェックすべき項目の1つ、現金預金の残高の確認が重要です。預金口座の残高と現金出納帳の金額が一致しているかを確認することで、損益計算書や貸借対照表の正確性を保つことができます。また、通帳の12月31日時点の残高を入力することで、税務署からの調査に備えることも大切です。日常業務で残高確認をしていれば、差異がでることはありませんが、確認を怠った場合、税務署から異動申告を求められ、修正を余儀なくされる可能性があります。しっかりと確認し、申告に臨むことを意識する必要があります。

売上が合っているか、未計上がないか

売上は、期末日前後の計上の誤りが税務調査で指摘されやすい項目の一つです。したがって、確定申告前に売上が適切に計上されているかを確認することは非常に重要です。まず、決算整理前の試算表を作成し、未処理の仕訳がないかをチェック・修正します。

特に、信用取引で受け取るべき代金の受領があるのに計上していないものはないか確認しましょう。また、請求金額と入金金額がずれているものがないかをチェックすることが重要です。このような誤りがある場合、売上が過大または未計上になってしまい、確定申告において大きな問題となります。

売掛金の未回収が合っているか

売掛金の未回収が合っているか、このチェックポイントは特に注意が必要です。売掛金は商品やサービスに対する入金がまだされていない「ツケ」のようなものであり、未回収の状態が続くと業務資金不足に陥ることもあります。したがって、経理担当者は売掛金を適切に管理し、未回収の状態がないか確認する必要があります。もし未回収がある場合は、追跡や回収方法の改善を検討することが必要です。また、売掛金の未回収がある場合、税務申告や財務諸表に影響を及ぼす可能性があるため、適切な処理が必要です。売掛金の未回収が合っているかは、確定申告前にしっかりと確認するようにしましょう。

買掛期の未払いが合っているか

買掛期の未払いが合っているかを確認しましょう。買掛金は仕入れた原材料や商品を支払い期限が過ぎた後に支払うべき債務を示します。そのため、支払い期限を確認し、支払い期限が過ぎている債務がある場合は必ず確認することが重要です。未払い債務が発生していると、現在のキャッシュフローに影響を及ぼす可能性があります。このほか、未払い債務が発生した理由や支払い予定日の調整が必要な場合は、速やかに取り組むことが求められます。

確定申告前に未払い債務の確認を怠ることは、将来的な支払いに困難が生じることにつながりかねません。

預り金の明細と残高が合っているか

預り金の明細と残高が合っているかを確認する必要があります。預り金とは、事業上で受け取ったお金を一時的に預かるために使用する口座です。この口座の明細と残高は、事業活動に欠かせないものです。確定申告前には、預り金の明細と残高が正確かつ合っていることを確認する必要があります。

間違いやすいのは、社会保険料、労働保険料、所得税の源泉徴収分がごっちゃになってしまう点です。もし明細と残高が合わない場合には、原因を特定し、修正する必要があります。預り金の管理には注意が必要です。

借入金の返済と残高が合っているか

個人事業主が借金の返済について確定申告をする際に、必要経費として算入できることがあります。ただし、確定申告や年末調整で所得税額を確定するために、税務署は借金の残高状況を確認しなければなりません。そのためには、年末時点の借入残高を証明する書類が必要となります。また、月々の返済額は支払う利息も含めて考えることが重要です。利息は、借入残高に金利を掛けて借入日数で除したもので求められます。借入金の返済と残高が合っているかは、確定申告を行う前にしっかりと把握しておくべきポイントの一つです。

家事あん分ができているか

家事あん分とは、個人事業主やフリーランスの場合において、自宅にある事務所や設備を事業目的で一部利用した場合に負担することができる家事費用のことです。確定申告前に押さえておくべきチェックポイントの一つとして、家事あん分ができているかを確認しておくことが重要です。

事業用とプライベート用の使用時間や面積を適正に分け、家事費用を事業費として計上することで、税金を節約することができます。しかし、不当な家事あん分は税務署の厳しい目に触れることになるため、正しい方法で計算し、申告することが大切です。 家事あん分が適切にできているかを確認し、誤りがある場合は修正することで、確定申告がスムーズに進むようにしましょう。

プライベートな支出を事業の費用にしていないか

次の確認項目は、プライベートな支出を事業の費用にしていないかどうかです。個人事業主が自分の利益を増やす手段の1つとして、私的支出を事業費として計上してしまうことがあります。

しかし、税務署はこのような計上を認めず、過大な経費計上による偽装請求などには厳しい対応を取っています。したがって、プライベートな支出が事業費に含まれていないかどうか、細心の注意を払う必要があります。

固定資産の取扱いが合っているか

固定資産の取扱いが合っているかについては、会計上の減価償却が正しく行われているかどうかを確認することが重要です。税務署の調査が入った場合、固定資産管理台帳が正確に記入されているかどうかも確認されます。税込経理と税抜経理では計上方法が異なるため、注意が必要です。

さらに、新規の計上分や処分等の処理についても、正しい情報が把握できることで事業の経営にも役立ちます。固定資産の情報を正確に管理し、リスクを回避するためにも重要なポイントであることを忘れずに確認していきましょう。

減価償却の方法が合っているか

固定資産を保有する場合、減価償却費の計算は青色申告、白色申告にかかわらず必要なものです。減価償却の方法を誤ると、資産価値の算定に誤りが生じ、経理上問題を引き起こす可能性があります。そのため、正しい知識を身につけて計算を行うことが重要です。減価償却の計算に必要となる項目を把握し、正確な計算を行うよう注意しましょう。これによって、会計処理をスムーズに行うことができます。また、減価償却費を支出に計上するためには、減価償却の方法が正しいことも重要です。

棚卸し資産が正確に計上されているか

棚卸資産は、税務調査において重点的にチェックされる項目の1つであり、売上原価に影響を与えます。現金、在庫、備品、プレゼント券などの割引券、商品券、売掛金、前払金などが含まれます。会計期間をまたぐ取引がある場合には、特に厳しくチェックされますので注意が必要です。日々の業務では、棚卸を正確に資産計算に反映させることが大切です。正確に計上するためには、事前にチェックポイントに従って棚卸資産を取り出し、点検することが必要です。これによって、税務調査に備えるだけでなく、事業運営において適切な経営判断をすることができます。

控除:医療費控除、ふるさと納税、生命保険料控除の抜け

確定申告前に押さえておくべきチェックポイントのうち、最後に挙げられたのは「控除:医療費控除、ふるさと納税、生命保険料控除の抜け」についてです。確定申告において、控除を受けることで納税額が軽減されます。中でも医療費控除は、病院や薬局で支払った医療費の一部を控除することができます。また、ふるさと納税は、地方自治体に対して寄附を行うことで国税から控除される制度です。さらに生命保険料控除は、生命保険料を支払った場合に控除を受けることができます。

しかし、これらの控除を忘れてしまい、申告漏れをしてしまうことがあります。確実に確定申告を行うためにも、これらの控除を抜け漏らさずに申告することが大切です。さらに、正しく申告することで納税額を軽減することができますので、経費削減にもつながります。

資料の保存を適切に行っているか

確定申告前には、資料の保存を適切に行っているかのチェックも必要です。源泉徴収簿は7年間保存することが求められており、顧問税理士がいる場合には事前に打ち合わせを行うことで、必要な資料が漏れていないか確認することができます。また、電子帳簿保存法にも注目が必要です。国税庁ホームページに掲載されている「電子帳簿保存法一問一答」を参考にしたり、税理士に頼ったりして、保存について正しく理解しましょう。納税者が保存した資料に基づいて、国税局や税務署による調査が行われることもありますので、注意が必要です。確定申告にあたっては、正確な情報を提供するためにも、資料の保存に十分な注意を払うことが求められます。

税務調査官による調査に備えるた申告を意識する

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確認ポイントは、税務調査官による調査に備えて申告を意識することにつながります。「私は調査に入られない」とたかをくくっていると、不意に入ることにつながってしまいます。

税務署や国税局による税務調査は、納税者が適切に税金を納めているかどうかを確認するために行われます。しかし、事前に備えて申告を正確に行うことで、税務調査に対応することができます。例えば、必要な資料や書類を適切に整理しておくことや、確定申告を行う前に13のチェックポイントで事業内容を確認することは、税務調査官による調査に備えるための大切な手段です。

日頃から意識をしておきましょう。

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