輸出免税での2021年の改正
改正内容と改正理由
2021年(令和3年)の消費税法改正において、20万円以下の貨物に関する輸出免税の書類保存要件が厳格化されました。この改正の背景には、不正行為を防止し、輸出事実をより確実に証明するための措置が含まれています。
改正内容
輸出免税を受ける際の証明書について、貨物の価格が200,000円以下の場合とそれ以上の場合で必要な書類が異なります。
200,000円以下の小型貨物
- EMSまたは小包郵便物の場合:
- 通常郵便物の場合:
200,000円超の貨物
このように、貨物の価格に応じて必要な証明書類が異なりますので、適切な書類を準備し、輸出免税を受けるための手続きを進めることが重要です。
価格基準はなに?
この価格基準は、FOB価格です。
FOB価格がどうして基準とされるかというと、輸出許可証にFOB価格を記載するようになっているからです。通関代は含まれていますが、海外輸送代は含まれていません。
よって、本体の基準価格になると考えられます。
改正前の問題点
改正前は、輸出年月日などが記載された「帳簿」または受取人からの物品受領書等のいずれかを保存すればよかったため、虚偽の帳簿記載による不正な輸出免税適用が発生していました。
帳簿に記載することも、受取人からの書類に記載することも比較的楽に恣意的に処理ができるものです。
例えば、帳簿の場合は、輸出品だということを記載するのは簡単です。
また、受取人から受け取るのも結構簡単です。
これは、輸出入を経験した人からすれば肌感覚でよく分かります。大した理由はなくても、受領証をくれということを伝えれば作ってくれる事が多いです。また、国際間のやりとりはPDFで送ることが多いです。その資料を、書き込んで二次利用するという不正も考えられます。
国際郵便が指定されている理由は?
改正後の要件
小包郵便物やEMSの場合は、「日本郵便株式会社から交付された引受け証明書」に加え、「ご依頼主控」や「国際小包受取書」、「EMS受取書」などを保存する必要があります。
通常郵便物の場合も、日本郵便から交付された引受け証明書(品名等を追記したもの)を保存しなければなりません。
アンダーバリューの問題
アンダーバリュー(Under Value)とは、輸入時に実際の取引価格よりも低い価格を申告し、関税や消費税を安く抑えようとする不正行為です。この手法は、輸入者の税負担を軽減するために行われることがありますが、法律違反であり、発覚した場合には重い罰則が科されます。
直接的に消費税法に関係しているわけではないですが、関税法などとのからみで改正をしている可能性も推測できます。
EMSに限定されている理由
信頼性と公的性
日本郵政によるEMSは公的機関によって運営されており、その信頼性と透明性から輸出免税の証明書として認められています。これに対し、民間業者は各社独自の基準で運営されており、一律に信頼性を評価することが難しいため、といわれます。
もちろん他社であっても、不正がはびこっているわけではないです。FedExやDHLなどの民間配送業者も、通関手続きが厳格です。通関は、失敗するとものがとまって届きません。そのため、通関書類の内容が詳細にチェックされます。
どの業者も、通常、顧客に対して正確なインボイスと通関書類を提出することを求めており、不正行為を防ぐためのシステムが整っています。
不正防止策
EMSを利用することで、不正行為の抑制と確実な輸出事実の証明が期待されています。アンダーバリューはどの配送業者でも法律違反となる行為であり、発覚した場合には厳しい罰則が科されます。配送業者によって不正行為のしやすさが異なるわけではなく、すべての業者で適切な通関手続きと法令遵守が求められています。
輸出免税の要件として気をつけよう | EMS 輸出免税
免税の際の要件は、厳格です。
決まったやり方に反していれば、仕入税額控除を認めてもらえません。調査においても厳格にチェックされます。気をつけるようにしましょう。
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「EMS 輸出免税」
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