日本で生活する人々は、住民票が税金の課税をされる際に大切になってきます。日本に定住している場合比較的当たり前の概念です。住民票は、日本で生活するために必要不可欠な文書す。また、各自治体が発行しているものです。
しかし、日本に永住する外国人は、住民票の登録が完了していない場合があります。そんな時、気になるのが住民税の問題です。果たして、日本に住民票の登録がなければ、住民税が課されないのでしょうか?いえ、みなし規定などもあります。住民票の登録がなくても住民票が課される場合は存在します。この記事では、その疑問について解説します。
住民税が課税されるのは誰?
住民税が課税されるのは、日本に住所を有する人です。1月1日時点で日本に住所があり、一定額以上の給料や年金、事業などの所得を得ている個人は、住民税の対象となります。また、生活保護法に基づく生活扶助を受けている人や、障がい者手帳を持っている人は、特定非課税対象となることがあります。
もう少し具体的にも条文も見ていきましょう。細かい規定なので、下線部だけを軽く読んでください。
(市町村民税の納税義務者等)
第二百九十四条 市町村民税は、第一号の者に対しては均等割額及び所得割額の合算額により、第三号の者に対しては均等割額及び法人税割額の合算額により、第二号及び第四号の者に対しては均等割額により、第五号の者に対しては法人税割額により課する。
一 市町村内に住所を有する個人
二 市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で当該市町村内に住所を有しない者
三 市町村内に事務所又は事業所を有する法人
四 市町村内に寮、宿泊所、クラブその他これらに類する施設(以下この節において「寮等」という。)を有する法人で当該市町村内に事務所又は事業所を有しないもの
五 法人課税信託(法人税法第二条第二十九号の二に規定する法人課税信託をいう。以下この節において同じ。)の引受けを行うことにより法人税を課される個人で市町村内に事務所又は事業所を有するもの
2 前項第一号の市町村内に住所を有する個人とは、住民基本台帳法の適用を受ける者については、当該市町村の住民基本台帳に記録されている者をいう。
3 市町村は、当該市町村の住民基本台帳に記録されていない個人が当該市町村内に住所を有する者である場合には、その者を当該住民基本台帳に記録されている者とみなして、その者に市町村民税を課することができる。この場合において、市町村長は、その者が他の市町村の住民基本台帳に記録されていることを知つたときは、その旨を当該他の市町村の長に通知しなければならない。
4 前項の規定により市町村民税を課された者に対しては、その者が記録されている住民基本台帳に係る市町村は、第二項の規定にかかわらず、市町村民税を課することができない。
5 外国法人に対するこの節の規定の適用については、恒久的施設をもつて、その事務所又は事業所とする。
6 第二百九十六条第一項第二号に掲げる者で収益事業を行うもの又は法人課税信託の引受けを行うものに対する市町村民税は、第一項の規定にかかわらず、当該収益事業又は法人課税信託の信託事務を行う事務所又は事業所所在の市町村において課する。
7 公益法人等(法人税法第二条第六号の公益法人等並びに防災街区整備事業組合、管理組合法人及び団地管理組合法人、マンション建替組合、マンション敷地売却組合及び敷地分割組合、地方自治法第二百六十条の二第七項に規定する認可地縁団体、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律第七条の二第一項に規定する法人である政党等並びに特定非営利活動促進法第二条第二項に規定する特定非営利活動法人をいう。)のうち第二百九十六条第一項第二号に掲げる者以外のもの及び次項の規定により法人とみなされるものに対する法人税割(法人税法第七十四条第一項の申告書に係る法人税額を課税標準とする法人税割に限る。)は、第一項の規定にかかわらず、これらの者の収益事業又は法人課税信託の信託事務を行う事務所又は事業所所在の市町村において課する。
8 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあり、かつ、収益事業を行うもの(当該社団又は財団で収益事業を廃止したものを含む。以下市町村民税について「人格のない社団等」という。)又は法人課税信託の引受けを行うものは、法人とみなして、この節(第三百二十一条の八第六十二項から第七十八項までを除く。)の規定中法人の市町村民税に関する規定を適用する。
9 第六項から前項までの収益事業の範囲は、政令で定める。
地方税法294条
住所の有無が基本の判断基準です。しかし、黄色でマーカーした部分を確認してみてください。住所がなくても課税する場合を記載しています。つまり、住民票を持たない人であっても、住民税の課税対象となることがあるのです。
住所という概念が分かりにくいのですが、これは民法で定められています。
(住所)
第二十二条 各人の生活の本拠をその者の住所とする。
(居所)
第二十三条 住所が知れない場合には、居所を住所とみなす。
2 日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所をその者の住所とみなす。ただし、準拠法を定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない。
民法22条・23条
さて、外国人であっても、日本に住所があれば、住民税を支払う必要があります。もっと言えば、日本に居所がある場合も住民税を収める義務が生じます。住民税は、都道府県や市区町村が課税する地方税の一つでです。
住民票の登録がない場合は、課税されないの?
住民票の登録がない場合、住民税は課税されないことが一般的に思われます。実際は、出国期間・目的・出国中の居住の状況、生活の本拠が国内か海外か、継続性や定住の意思の有無など、様々な要素が考慮されます。そのため、住民票の登録有無や課税されるか否かを一律に判断することはできません。
「在留カード」が交付された中長期在留の外国人について、住民票が作成さます。「短期滞在」の場合、外国人でも住民票は作成されません。
ちなみに、法務省は在留期間の更新を審査する際に、税金などの滞納がないかを確認します。滞納などがないかは注意が必要です。
所得税と住民税の関係
これら2つの税は、日本国内の住民に課税される税金の中でも最も主要なものです。所得税は、収入に対して課せられる税金です。また、住民税は、住んでいる市町村に対して課せられる税金です。住民票の登録がない場合に、住民税は基本的に課されないのです。しかし、みなし規定なども存在するので、一概にはいえません。
外国人の場合、居住状況や滞在期間によって納税義務が異なる場合があります。不安な場合は、税務署などに相談しておきましょう。給料を得ていれば、原則的に源泉徴収がされているはずですが。納税申告書の提出も忘れずに行うことが大切です。在留カードや外国人登録証明書の取得も重要です。税務上の居住地の判断材料としても用いられることに注意が必要です。
外国人の住民票登録について
日本に住む外国人は、住民票の登録が必要です。住民票があれば、身分証明書の発行などができるたり、行政独自のサービスが受けられたりします。その代わり、住民票を持つことで、住民税の支払いが必要になります。
特別永住者は外国人登録証明書を所持しているので、一定の期間は登録証明書が住民票として使用できます。ただし一方で、住民税については、住んでいる市区町村に納税する必要があります。
在留カードと外国人登録証明書の関係性
在留カードと外国人登録証明書は、外国人が日本に滞在するために必要な重要な書類です。外国人は、滞在する前に入国管理局で外国人登録手続きを行い、外国人登録証明書を取得する必要があります。在留カードは、2012年7月から新たに導入された書類で、外国人登録証明書の機能を兼ね備えています。在留カードは、外国人が日本での就労や住居の手続きを行う際に必要な書類です。また、外国人は、在留カードの所持を常に義務付けられており、カードの変更や更新なども必要となります。在留カードと外国人登録証明書は、外国人が日本での生活や活動を行う上で欠かせない書類であるため、正確な情報を把握しておくことが重要といえます。
税務上の居住地とは?
税務上の居住地とは、所得税や住民税などの税務上の取扱いにおいて、個人が居住している場所を指します。居住地は、住民票に基づいて確定する場合が一般的ですが、所得税法には居住者という概念があり、国内に住所を有するか、1年以上居所を有する場合には居住者とみなされます。
また、住民票の登録がなくとも、所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書を提出して、事業所のある住所で確定申告することができます。
つまり、居住地は、税務上の取扱いにおいて非常に重要な要素となります。外国人の場合は、在留カードや外国人登録証明書によって、税務上の居住地が確定されます。