相続税の計算では、受け継いだ資産からマイナスできる負債があります。
資産とは、例えば現金です。そして負債はなくなった方の代わりに払わないといけないものです。
1億円を相続したときに、その方に借金が5000万円あれば、差し引きして5000万円に対しての税金を計算します。
さらに、お葬式の費用200万円がかかっていれば、さらに引き算をして4800万円となり、これに対して相続税を計算します。
では、初七日や四十九日に対しての費用は差し引きできるでしょうか。
これらは、差し引きできません。
差し引きできる費用を整理し、また、初七日・四十九日について文化的な理解をしてみましょう。
相続財産のマイナスにできないものの比較
相続税から差し引きできる費用は決まっています。
具体的に示されているもの以外は引けないこととなっています。
そのうち、葬儀費用は差し引きできます。
しかしながら、初七日や四十九日は葬儀費用とはされていません。
具体的には以下のように説明がされます。
葬式費用となるもの
遺産総額から差し引く葬式費用は、通常次のようなものです。
(1) 葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。)
(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3) 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)
(4) 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5) 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
No.4129 相続財産から控除できる葬式費用葬式費用に含まれないもの
次のような費用は、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しません。
(1) 香典返しのためにかかった費用
(2) 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
(3) 初七日や法事などのためにかかった費用
ただし、繰り上げ法要について、葬儀費用と初七日が区別されていない場合には控除できると考えられます。
繰り上げ法要は後述します。
初七日と
初七日とは?
一般的に、亡くなった日を含めて、死亡後7日目に行う法要のことをいいます。
この日は、故人が三途の川に到着する人言われています。
亡くなると、7日毎に閻魔大王の裁きを受けるものと考えられていまして、初七日は三途の川を渡って最初の裁きを受ける日です。
重要な法要ではあるのですが、葬儀の日から1週間後に再度親族が集まるのは大変です。
これにより繰り上げ法要といって、葬儀の日に合わせて行うことも増えてきました。
なお、繰り下げ法要は、あまり一般的ではありません。
仏事は遅らせないというのが原則です。
というのも、仏様に故人の生まれ変わりを良いところにしてほしいと頼むにも関わらず、遅れてしまうと手遅れになってしまうからです。
なお、生まれ変わり先は6つの世界があります。
なお、キリスト教でいう天国(極楽浄土)は、これらの上という理解です。
- 天道・人間道・修羅道からなる三善趣(三善道)
- 畜生道・餓鬼道・地獄道からなる三悪趣(三悪道)
ただしながら、家族の考え方と地域の風習によります。
遅れてしまっても家族が仲良く集まる機会になればいいという考えもあります。
仏教や合一した神道は、比較的柔軟なものです。
新型コロナウイルスが流行った時期には年単位で見合わせるという事例も存在しました。
どちらにせよ、その意味を理解しておきたいですね。
四十九日
四十九日は、亡くなった日を含めて四十九日目の法要のことをいいます。
7日ごとに閻魔様の審判を受けて行き先が決まります。
また、宗派によって変わりますが、極楽浄土に行けるかどうかの判定がされるのは最後の審判の日です。
そこで、文字通り成仏(仏になる)できるように祈るのが四十九日です。
繰り上げ法要を行った場合は、この四十九日が葬儀後に最初に集まる機会となります。
この日に納骨を行う場合も多いです。
相続の期限に遅れないように
相続税の申告期限は、相続が起こったことを知った日から10月以内です。
初七日や四十九日はもちろん過ぎた後です。
家族が亡くなると悲しみによって動きにくいことはありますが、遅れないように気をつけましょう。
相続税の申告でよくあるのは、ぎりぎりになってから税理士などに相談する場合です。
財産目録の作成や土地などの現地調査を考えた場合、短期間で申告書を作成するのは難しい場合があります。
遅延すると、小規模宅地等の特例など、税金の優遇が使えないこともあり、税額が跳ね上がることもあります。
まずは、早めの相談をいただけるとよいです。