2026年11月、訪日旅行者向け消費税免税制度がリファンド方式へ|旅行者・免税店の注意点

小嶋 晃弘 / 税理士

2026年7月22日

日本を訪れる外国人旅行者にとって、買い物時の「Tax-Free」は身近な制度です。しかし、2026年11月1日から、その仕組みが大きく変わります。

これまでは、免税店でパスポートを提示すると、原則として消費税を除いた金額で商品を購入できました。新しい制度では、まず消費税込みの金額を支払い、出国時に商品の持出し確認を受けた後で、消費税相当額の返金を受ける形になります。

今回の変更は旅行者だけでなく、免税店を運営する事業者のレジ、返金、会計処理や外国語案内にも影響します。

この記事でいうTax-Freeとは、日本国内の免税店における消費税の免税制度です。
似た名前の、空港のDuty-Free Shopとは仕組みが異なります。

2026年11月から「リファンド方式」へ

新制度は「リファンド方式」と呼ばれます。基本的な流れは次のとおりです。

  1. 免税店でパスポートなどを提示する
  2. 商品を消費税込みの価格で購入する
  3. 購入情報が国税庁のシステムへ送信される
  4. 出国する空港や港で旅券等を提示し、税関の確認を受ける。
    税関から求められた場合は、購入した商品を提示する。
    • 購入日から90日以内の出国時に、旅券等を提示して税関の確認を受ける必要があります。税関から求められた場合に提示できるよう、免税対象物品をすべて所持しておかなければなりません。
    • 出国時に税関の確認を受けられなければ、原則として消費税相当額の返金は受けられません。
    • また、税関の確認を受けた後に商品を国外へ持ち出さなかった場合は、免除された消費税額に相当する消費税が徴収されます。正当な理由なく商品を遅滞なく輸出しなかった場合には、罰則の対象となることがあります。
    • 所持して出国するため、持ち出せる数量に限られます。
  5. 確認後、店舗または返金事業者から消費税相当額が返金される

つまり、旅行者が税務署へ還付申告をする制度ではありません。返金を行うのは、商品を販売した免税店または店舗から委託を受けた事業者です。

おおまかなポイント

違いから何が変わっていくかをまとめてみましょう。

  1. 以前は、販売時に免税で商品を購入していました。それが、税込価格で販売をする方式に変わります。
  2. 90日以内の税関での確認が必要です。
  3. 販売者も、税関の確認を受けた後に免税処理をする
  4. 免税成立後に、免税が決定して消費税を返金することになります。
  5. 一般物品と消耗品の区分、また特殊包装要件がなくなります。
  6. 金・白金の地金などは対象から除かれることになりました。
  7. 通常生活の用に供する物品という注意書きがなくなります。
  8. 購入下限額(5000円)は、税抜き価格で判定します。

なお、出国日ではなくて、2026年11月1日以降の販売から新方式が適用されます。

税抜100万円以上の免税対象物品については、店舗が送信する購入記録情報に、シリアルナンバーなど、その商品を特定するための情報を加える必要があります。

「空港で必ず現金が戻る」とは限らない

誤解しやすいのは、出国時に空港の税関から自動的に現金が返されるわけではない点です。

返金方法は、銀行振込、クレジットカードへの返金、アプリによる送金、出国する空港内での現金返金などが想定されています。ただし、消費税法では具体的な返金方法が一律に決められていません。
また、業者に委託をしてその業者から送金をしてもらうことも可能です。

そのため、実際の返金方法や返金時期は店舗によって異なる可能性があります。購入時に、「還付はどのように受け取りますか」と確認しておくことが大切です。

空港では荷物を預ける前に手続をする

出国時には、空港や港に設置された免税手続用の端末へパスポートを読み込ませます。検査が必要と判定された場合は、税関職員による商品の確認を受けます。

このとき、免税手続をした商品を所持している必要があります。商品をスーツケースに入れている場合は、航空会社へ荷物を預ける前に税関の手続を行わなければなりません。

搭乗時刻が近くなってから手続をすると、検査が終わらず、返金を受けられないことも考えられます。空港には時間に余裕を持って到着したほうがよいでしょう。

購入した商品は原則として国外へ持ち出す

特殊包装の要件はなくなりますが、飲食料品、医薬品、化粧品などの消耗品を日本国内で全部または一部消費すると、原則として持出し確認を受けられません。
一方、消耗品以外の物品は、日本国内で使用していても、最終的に国外へ持ち出すのであれば、持出し確認を受けることができます。

出国前に食品を食べてしまった場合や、商品を紛失した場合は、その商品について持出し確認を受けられない可能性があります。
消費税法の規定から、国内で消費したものの消費税は返ってきません。
国内で食べるなどして、出国時に商品を所持していない場合は、税関の確認を受けられず、原則として消費税相当額の返金を受けられません。

さらに、税関の確認は、基本的に一つの購入記録、つまり一回の会計単位で行われます。同じ会計に含まれる商品の一部を所持していない場合、同じ購入記録に含まれる他の商品についても免税が認められないことがあるため注意が必要です。

購入から90日以内の確認が必要

税関の持出し確認は、商品の購入日から90日以内に受ける必要があります。長期滞在の旅行者や、旅行の初めに高額な買い物をする人は、出国日までの期間も確認しておきましょう。

免税対象となる購入下限額は、原則として同一店舗での1日の購入額が税抜5,000円以上です。一方、消耗品に設けられていた50万円の購入上限額や特殊包装は廃止されます。

出国時の手続き

免税購入対象者は、購入から90日以内の出国時に旅券の提示が必要です。
その際に、空港にある税関端末から手続きを行います。

画面上に税関検査の要否判定が出ます。
検査が不要(グリーン判定)の場合は、これで手続完了です。

検査が必要な場合(レッド判定)は、税関検査で所持検査が行われます。
そこで輸出しない場合は、消費税の徴収がされ、また、罰則の対象になります。

検査は、購入記録情報ごと(レシート単位)に行われます。
つまり、ひとつのレシートについて、3つの商品があるとします。
このうち、一つでも持っていなければその3つすべてに対して免税の許可が受けられません。

海外への別送にも注意

旅行者が免税店で購入した商品を、後から郵便局や配送会社を使って自分で海外へ送る「別送」の取扱いは、すでに2025年4月から廃止されています。

商品を海外へ送りたい場合でも、旅行者が購入後に郵便局や配送会社を利用して自分で発送する「別送」では、免税の適用を受けられません。
一方、販売場所で運送契約を結び、その場で商品を運送事業者へ引き渡す「直送」であれば、一定の要件の下で輸出免税が適用される場合があります。利用できるかどうかは、購入前に店舗へ確認しておきましょう。

免税店側は外国人旅行者に伝わる案内の準備が必要

免税店を運営する事業者は、単にレジやシステムを変更するだけでは足りません。

税込価格をいったん支払うこと、出国時の税関手続が必要なこと、商品を預け荷物に入れる前に確認を受けること、返金方法や返金時期などを、購入者へ分かりやすく説明する必要があります。

特に英語での案内では、「いったん支払いを先に行い、後から還付を受ける」という基本的な流れを明確に伝えることが重要です。

まとめ

2026年11月から、日本の外国人旅行者向け免税制度は、店頭で直ちに消費税を免除する方式から、出国時の持出し確認後に返金する方式へ変わります。

旅行者にとっては、税込金額を一時的に支払う必要があり、空港での手続もこれまで以上に重要になります。免税店側も、返金方法、システム対応、会計処理、多言語での説明を早めに整理しておく必要があります。

制度の具体的な運用は今後も更新される可能性があります。旅行前やシステム導入前には、国税庁や観光庁の最新情報を確認しておくといいでしょう。

この記事を書いた人

小嶋 晃弘

大阪市都島区の税理士。英語対応、国際税務、海外取引のある個人事業主・中小企業の税務相談を中心にサポートしています。

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