2023年4月から長崎市が新たに導入した「宿泊税」についてお話ししましょう。個人で旅行に行ったときに、この税金は取られることとなります。この税金は観光振興に活用されるとされていますが、具体的にどんな内容でしょうか。
課税対象と税率
まず、この宿泊税の課税対象は、旅館・ホテル、簡易宿所、そして住宅宿泊事業に関連する施設です。税率は宿泊料金に応じて異なります。
宿泊金額(一人あたり) | 税額 |
---|---|
1万円未満 | 100円 |
1万円以上2万円未満 | 200円 |
2万円以上 | 500円 |
課税を導入するときにどれくらいの金額が取られるかが話題になりました。
地方消費税を考えると、2回課税がされるのではないかという議論にもきちんと応えてから導入をしています。
意外に低い気がしますね。他の市町村とは同レベルの課税です。
東京都
東京都の宿泊税の課税対象額・税率は、以下の表のとおりです。
宿泊金額(一人あたり) | 税額 |
---|---|
2万円未満 | 200円 |
2万円以上 | 500円 |
宿泊金額(一人あたり) | 税率 |
---|---|
7,000円未満 | 課税されません |
7,000円以上15,000円未満 | 100円 |
15,000円以上20,000円未満 | 200円 |
20,000円以上 | 300円 |
どんなことに対して課税?
消費税と区分される際に、どんなものに課税されるか話題になりました。
宿泊料金の対象になるものは以下のものです。名称が少々異なっていても対象です。また、これらは、宿泊者の意思に関係なくかかるものという前提があります。
含まれるもの
- 宿泊代
- 寝具代
- 入浴料
- 寝衣代
- いわゆる「民泊」施設における清掃料等を含む
- サービス料、奉仕料等を含む
含まれないものはどうでしょうか。
含まれないもの
- 宿泊で出される飲食
- ゲーム代
- 会議室の利用、休憩その他
- 消費税、地方消費税、入湯税、宿泊税等の税
- 自動車代、煙草代、電話代、クリーニング代、土産代等の立替金等
- 宿泊者が任意で支払った心付け、チップ、祝儀等の金額
誰が払うか
一般の人が考える意味の払うは、泊まった人です。
しかし、入湯税と同じく、長崎市に税金をおさめるのは宿泊業をしている事業者です。
仕組みのイメージは消費税に近いですね。
どんなふうに課税報告がされるの?
事業者が支払うときには、課税報告がされて支払うこととなります。
大阪府の例を見てみましょう。
このように、宿泊の金額や人数を報告することで課税がされます。
預かって払うので、特別徴収というように専門用語では言われます。
事業者への影響
課税対象となる事業者にとっては、新たな負担が増えるわけです。その一方で、観光振興のためにその税額が使われれば発展につなげられます。
地方公共団体の財源の多くは、固定資産税などです。
それらが増えない現状の社会では、追加の財源が必要です。
京都市の例では、観光客が多くなっていてゴミが増え、ゴミ箱もなく、溢れている問題がありました。
日本ではオーバーツーリズムの問題をまだあまり考えていませんが、イタリアのヴェネツィアでは問題になっている例が見られます。
観光客が多すぎて地域住民の生活の質を下げてしまうという問題です。
こういったことへの対応や、そもそも観光客への観光の質の向上へもつなげられるはずです。
まとめ
新しい税金という言葉には、嫌な感じを受ける方がいるかもしれません。
しかし、観光関連の税金はこれからもう少し上がっていく可能性は考えられます。
そのときになんの税金か理解しておくと、税金の理解へもつなげられると考えます。