非居住者で日本の会社から役員給与をもらったら、どんな税金がかかるか?

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執筆者小嶋 晃弘

◆国際基督教大学卒、大阪府立大学大学院経済学研究科修了。税理士、MBA、宅地建物取引士。国際営業、経理、労務、採用、人事、IT管理など幅広い分野での実務経験があります。 ◆税理士の顧問サービスの他、企業オーナーや個人事業主に対して資産運用コンサルティングや税務サポートを提供。金融教育の重要性を感じ、税務関連の執筆活動にも取り組んでおり、税務に関する書籍や記事を執筆しています。 ◆プライベートでは、2人の男の子の父。趣味は水泳、読書、カメラ、アニメで、休日には息子たちと一緒に自然を楽しんでいます。

2023年5月18日

日本の経済が急成長を遂げる中、海外からの企業進出や人材交流も益々活発化している昨今。多くの外国人が日本で幹部職に就くことが増えてきています。そんな非居住者たちの中には、「日本の会社で働くことになったら役員給与にどのような税金がかかるのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。

今回のブログでは、そんな非居住者に向けて、日本の会社から役員給与をもらった場合にどのような税金がかかるのか、また、どのような手続きが必要なのかなどをわかりやすく解説していきたいと思います。

非居住者の原則から?

非居住者の原則的な所得税の課税について、税金がかからないという認識が多いです。というのも、住んでいないので国からサービスももらっていないし、そもそも接点がないという考えから来ているのでしょう。

だから、課税判断の最初は、居住者になるか非居住者になるかというところをに重きを置きます。それも間違ってはいません。

一般的な従業員の場合、つまりどこかに勤務する場合にはこの間が方が最初に来るべきです。リモートワークのVISA問題については、逆の考えを紹介しました。日本に住んでいれば、海外の会社に勤務していても所得制限に引っかかるという話です。

しかし、会社の役員の場合には、この考え方が異なってきますので注意が必要です。

役員に適用される所得税法とは?

給与所得者として海外勤務を行っている場合、国内に住所を有していないと一般的には非居住者と推定されます。海外で働く給与所得者は、原則として日本の所得税はかからないとされています。ただし、このルールは役員には適用されません。

日本の法人の海外支店の役員は、内国法人(本店または主な事務所が日本国内にある法人)の役員として国外で勤務した場合、その給与は日本国内で生じたもの(国内源泉所得)として、支払を受ける際に20.42パーセント(所得税20パーセント、復興特別所得税0.42パーセント)の税率で源泉徴収されます。

この考え方は、役員はその身体を縛られて仕事をしているわけでないことが関係しています。よく想像するに、役員は会社に出勤していない場合もありますよね。そんな感じです。法律の具体的な話をすると、会社法330条(Companies Act 330)において、「会社と役員は委任契約」となっております。

だから、所得の源泉地=役員の住所に着目して課税はせずに、会社の所在地国によって課税をすることをしています。

ただし、例外もあります。一例を紹介すれば、役員であっても、その内国法人の使用人として常時海外において勤務を行う場合には、その勤務に対する給与について源泉徴収の必要はありません。具体的には、内国法人の取締役が海外支店の支店長など使用人として常時勤務している場合がこれに当たります。

納税はどのように行うのか

まず納税はどのように行なわれるでしょう。それは、源泉徴収の形です。毎月の支払いについて、役員給与から所得税を差し引いて役員給与として海外在住の取締役に支払います。そして、差し引いた所得税部分は、翌月10日までに会社が納税をします。納期の特例などを利用しておくことも可能です。

確定申告は必要か

年末調整も考えてみましょう。通常の従業員の給与であれば、全体を勘案して年末調整が行なわれます。とりすぎた税金を戻す作業などです。

これに対して今回の海外在住社への役員給与の支払いは源泉分離課税(separate taxation at source)という形式がとられます。つまり、20.42%の支払いをして、年末調整はなしで完結です。

つまり、日本で確定申告を行う必要はないということです。

二重課税の調整

一方で、二重課税の調整の可能性があります。それは、日本でもらって所得に対して自分住んでいる国においても課税がされる場合です。この場合には、二重課税ということで自国で確定申告することで、その分の税金を減らしてもらえる制度があることが多いです。

租税条約の確認は必須

そして、必ず租税条約を確認しましょう。

上記で書いた内容というのは原則的な内容です。原則的な内容は、原則だけであって、それよりも租税条約が優先されます。日本とA国で締結されたその内容を確認しておきましょう。原則内容を覆す取りきめがあれば、その内容になります。また、上記は一般的な回答ということでご理解ください。

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