退職金の課税議論・垂直的公平性:サラリーマン優遇の終焉と新たな議論

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執筆者小嶋 晃弘

◆国際基督教大学卒、大阪府立大学大学院経済学研究科修了。税理士、MBA、宅地建物取引士。国際営業、経理、労務、採用、人事、IT管理など幅広い分野での実務経験があります。 ◆税理士の顧問サービスの他、企業オーナーや個人事業主に対して資産運用コンサルティングや税務サポートを提供。金融教育の重要性を感じ、税務関連の執筆活動にも取り組んでおり、税務に関する書籍や記事を執筆しています。 ◆プライベートでは、2人の男の子の父。趣味は水泳、読書、カメラ、アニメで、休日には息子たちと一緒に自然を楽しんでいます。

2023年6月5日

退職金の課税議論が行なわれている

最近、退職金の課税についての議論が注目を集めています。特に焦点になっているのは、長期間勤務に対する税制上の優遇が時代に即していないという点です。

現在、退職金の計算は次のように行われています。

20年以下の勤続年数であれば、40万円 × 勤続年数(A)。ただし、計算結果が80万円に満たない場合には、80万円が適用されます。一方、20年を超える場合は、800万円+70万円 × (勤続年数 – 20年)となります。

しかし、この計算方法が今後も適当であるのか、その再評価が求められているのです。

議論の的:税制の公平性と多様性

サラリーマン優遇しすぎ問題

議論の一つは、現在の退職金の課税制度がサラリーマンを過度に優遇しているというものです。これは、働き方の多様化により、正規のサラリーマン以外の働き方が増えている現代において、問題視されています。正規雇用から派遣・契約・パートといった非正規雇用、さらにはギグワーカーや請負等のフリーランスといった働き方が増えているため、全ての労働者に公平な税制が求められています。

多様性を求めて

現代の社会は労働者の多様性を求めています。そして、税制もそれに対応する形で進化すべきという意見が出ています。多様な働き方をする人々にとって公平な税制を作ることで、社会全体の公平性が増すとされています。

基礎控除が増える?

具体的な改革案として、給与所得控除や公的年金等控除の一部を基礎控除に振り替える提案があります。そしてすでに、給与所得控除の一部は基礎控除へ振り返られています。これにより、多用な働き方でも公平に税制の恩恵を受けられる可能性があります。そして、所得に関わらず一定の免除額が確保されることで、より公平な税制に近づくことが期待されています。

長年勤めないという社会的な動き

近年、一つの企業に長年勤め続けることが難しくなってきています。このような現状に対して、現行の退職金の優遇制度は従来の社会構造に基づいていますが、それが現代の労働市場には合致していないという問題提起があります。今後は多様なキャリアパスを歩む人々を支えるための税制が必要となっています。

公的年金控除の二重取り

退職金で控除が行われ、さらに公的年金で控除が行われる「二重取り」問題も議論の対象となっています。これは、一部の人々が退職金と公的年金の双方で控除を享受することで、公平性が損なわれるという問題です。

垂直的公平性

さらに、退職金の課税における「垂直的公平性」、つまり累進課税の見直しも大きな議論のテーマです。所得が高いほど税率が高くなる累進課税は、所得格差を是正する手段とされていますが、それが退職金にも適用されるべきかどうかが議論の対象となっています。

インボイス制度と同様に心構えは必要

突然の制度改革に対応するためには、事前の準備と理解が必要です。インボイス制度が突然導入されたように感じた方も多いでしょうが、実際にはその準備期間は長いものでした。

同様に、退職金の課税改革についても早めの準備が求められます。新たな議論が始まり、税制が変化することは確実です。その変化に対応するためには、新しい情報を常にチェックし、理解し、適応することが求められます。

税制改革は、私たち一人一人の生活に直結する重要な問題です。今後の議論に目を向け、自身にとって最善の対策を考えていくことが大切です。

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