電子帳簿保存法の猶予措置で「相当の理由」とはなにか?

電子帳簿保存法の改正が予定されています。改正では、紙保存だけでOKだった一時的な措置が終了することのアナウンスがありました。その代わり、猶予措置が予定されています。

この猶予措置の適用を受けるときには、「相当の理由」が必要です。今回は、この相当の理由がなにかを考えていきます。

もくじ

宥恕措置から猶予措置へ

2022年と2023年の間は、電子帳簿保存法に対応しなくても、許されていました。これが、いわゆる宥恕措置といいます。名前が分かりにくいのですが、「とりあえず、対応しなくても待ちますよ」という内容です。

これが2023年12月31日で切れることが確認されました。

その代わり、「データを保存するなら紙の保存を続けてもいいですよ」という猶予措置ができる予定です。しかしながら、猶予措置の適用を受けるときには、「相当の理由」が必要です。

相当の理由とはなんでしょうか?

やむを得ない理由から相当の理由へ

相当の理由の内容は、はっきりしていません。しかし言葉の厳しさを考えてみましょう。

これまでは、「やむを得ない理由」です。「やむを得ない」ということは、「本当は対応したいのだけれどもやむにやまれない理由があってできません。」という意味です。

これに対して、「相当の理由」であれば、やむを得ない必要はないのです。やむにやまれない理由がなくても、なにかしらの理由がれば認められると考えられます。

具体的な内容ははっきりしていません。

相当の理由の趣旨は広く優しくするため

「相当の理由」に該当するだろうと言われている例示を見ていきましょう。

予想されるもの

  1. 人材が間に合わなくて対応ができない
  2. ソフトウェアの導入が間に合わない

この辺りです。
届け出が必要なわけでもなく、承認が必要なわけでもなさそうです。

ということは、とりあえず理由がありますよと言えば、猶予措置が適用できるだろうということです。
もちろん、これは暫定の解釈なので正式な発表は確認をしてください。

ほとんどの人が適用されると考えていい

上記の通りで「相当の理由」は、ほとんどの人が適用されると考えて大丈夫でしょう。あとは、それを適用するのか、経営として一番適切な選択肢かを考えましょう。

国税庁は、様々な人に対応することを目的としている

納税者側からすると、国税庁や税務署は取り締まる側です。だから、なんとなく厳しい対応をするのだろう、締め付けるのだろうと考えるかもしれません。

しかし、今回の電子帳簿保存法は、すべての事業者が関係しています。あまり厳しい条件にすると守れない人が続出することが予想されます。また、この記事を読んでいる方は大丈夫でしょうが、世の中を広く見ると、事業をしているけれどもまったく帳簿付けしていない人や、電子機器を全く使わないで処理をしている人も存在するのです。

そういった、あまねく人に対応することを念頭に制度が緩まっているのが現状です。きちんと対応準備は必要ですが、適用当初もそこまで厳しくならない可能性はあるでしょう。もちろん、税務調査時で追徴課税される危険性も念頭に置くべき点です。

正式な発表は2023年6月くらいだろう

なお、今回の改正に伴って、国税庁の説明文書が出てくると考えられます。通達も同様です。国税庁の説明文書が出てくるのは2023年6月くらいかと考えれます。

いつ情報が出てくるか待っている人は、2023年6月くらいにもう一度確認してみましょう。l

しっかりと準備を進めよう

原則的な対応をする場合は、これらの通達や説明文書はあまり関係がないです。法律としては、おおよそ出ていますので、現状でも対策可能です。

これから対策を進めたい個人事業主や中小企業の方もいるでしょう。そういった方向けに、無料のWEBセミナーの開催を予定しています。お時間が合えば、ぜひご参加ください。

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