インボイス制度の番号という名前の不満
インボイス制度を説明しているときに、特に思うのは、伝わりにくいことです。
日本人に説明する時にも、インボイスやこれなんぞという感じで、伝わりません。
また、日本人以外にもインボイスが伝えにくいです。
そもそも、Invoiceは、請求書・領収書のようなものをいいます。
貿易をしている人であれば、その内容を記載したものもインボイスというように一括りに説明をします。
売りと仕入れを分けるときには、Sales InvoiceやPurchase Invoiceという表現にすることもあります。
また、なんでもかんでもInvoiceだと分かりにくいので、Sales Noteのように分けることだってあります。
意味合いが広すぎるため、Invoiceは、私にとっては使いにくい言葉です。
登録番号の呼び方
適格請求書発行事業者の登録番号
では、その登録番号はいったいなんなんでしょう。
インボイス制度の登録番号というのは、法的に言えば、「適格請求書発行事業者」に登録したときに得られる番号です。
仕入税額控除を消費税で行うときに、この番号が記載されていないと、控除ができなくなります。
では、インボイス制度の登録番号を英語でいうとどうなるでしょう。
直訳すると「Invoice system registration number」です。
しかし、口語で話していると長過ぎます。
Invoice Numberとだけ表現すると、請求書の識別番号になってしまいます。
最低でも、Invoice Registration Numberと表現することになります。
しかし、これもたまに伝わりにくいです。
Invoice Systemという言葉がそもそも英語で伝わりにくいので、その番号というのも伝わりにくくなってきます。
かろうじてT#
この点、ギリギリ使えるのは、T#です。
登録番号は必ずTで始まるため、T Numberという言い方で英語を使う人が議論したときに表現していました。
なんとか分かりやすい範囲でしょう。
税理士は英語ができない?
税理士が英語ができないと言われる所以はいくつかあります。
これは、とある国の会計士と話したときにもそうだったのですが、どうしてもLocal Taxに重きを置いてサービス提供をする傾向があるからです。
その国においても、とりわけ所得税や法人税のような期間課税をするような税法科目については理解が多いそうです。
それに対応するその国の税務署側もそうです。
これは、非難しているのではなく、多い質問や需要に対応しようとすると、所得税や法人税に対応することが増えるのです。
結果として、その国で英語で税法を提供することが減ります。
これは、日本も似ている感じがします。
国際税務とうたっていても、あまり多くの需要をつかめない場合があります。
また、税法もその国の言語を根幹として出来上がっていることが多いです。
日本の税法は当然日本語で議論されます。
他の言語に気を使って作るものではなくて、主たる言語として、裁判の結果などを加味して概念形成していくので、結果として日本語が主になります。
それに引きずられて、インボイス制度のような、英語訳にぜんぜん気を使わない言葉ができあがります。
日本語を主言語として所得課税に対応する多くの税法関係者にとっては、「インボイス」は珍しい言葉です。
適格請求書に対して「インボイス」という言葉を割り当てて語弊はないでしょう。
しかし、英語を含めて回答している立場としては、いつもやりにくさを感じます。
税理士が英語を使い切れないというイメージは、これらの下地において出てきているように感じます。
上手な説明につなげられればと、普段から気にするところです。