節税策のひとつに建物を建てることがあります。
相続税においてよく使われる方法です。
建物を建てるとどうして相続税を下げられるのでしょうか。
わかりやすい理由を2つ説明いたします。
また、この節税策は向き不向きがあります。
万能ではありません。
その理由も合わせてお伝えします。
建物において価値が下がる理由
建物を建てるときに価値が下がるその理由は、借入金が発生することです。
イメージ図を見てみましょう。
(A)の場合も(B)の場合もどちらもトータルは2億円です。
でも、(B)の場合の相続税が安くなるのは、赤い部分があるから。
赤い部分は、「誰かに貸している=即時に処分できない=価値の減額がある」という理解です。
人口減少があるとはいえ、定期収入が入る物件を持っておくのは心強いと感じる方もいます。
単なる現金で相続すれば、価値の減額がありません。
節税方法としてよくオススメされるひとつです。
建物所有が万能ではない理由
貸しマンションを建てるのは、相続税を下げる効果があります。
でも、この方法が必ずいいかというと、そうでもありません。
いくつか理由を挙げてみます。
処分にお金がかかる
土地や建物を持っていて、それを現金に変えるときにはお金がかかります。
- 所有権が移動したことを司法書士に法的に記録してもらう費用。
- 移転自体があったという契約をちゃんと結び実行するために、仲介業者に支払う費用
- 借入を精算するなら、銀行手数料
こういった費用は、小さいようでバカになりません。
建設時にも似た費用がかかっています。
処分をするときにもお金がかかってきます。
処分に時間がかかる
お金がすぐに必要なときにすぐに現金にできないリスクです。
今日明日現金に変えることはできません。
時間を短くすることもできますが、価格交渉だったりオークションのようにせりにかけたりする時間がなくなります。
結果として、安く売ることにつながってしまいます。
処分するときには高く売りたいですよね。
でも、ちゃんとした市場原理を期待して処分する場合、時間も必要なのです。
処分に慣れていないリスク
処分に慣れておらず、手間取る、めんどくさいというリスクがあります。
相続をする人は、もしかしたら土地や建物に慣れている方かもしれません。
マンションを建設するときなどスムーズにいきます。
ただ、相続をしてマンションをもらった人はどうでしょう。
今までの生活とは関係ないものをもらっているわけです。
そんなに簡単に処分をすぐすることなんてできないです。
処分に慣れていない人がマンションをもらうことも大いにありえます。
価値が下がる可能性がある
マンションの価値は下がる可能性があります。
もちろん、現金であってもインフレを考えれば価値の変動があります。
ただ、その振れ幅がモノの場合顕著です。
また、モノは必ず古くなるので、価値が下がります。
「いや、建物なんてそんなに変わらないのでは?」と思われるかもしれません。
でも、会計的な減価償却をした金額を必ず勘案して算定を行います。
時間は確実に価値を下げる要因になるのです。
市況も同様です。
マンションが値上がりすることもあります。
でも、絶対ではないです。
こういった市況をちゃんと加味したマンションを建てているか、注意が必要です。
縛られる印象
土地や建物を持っていると、そこに縛られる印象があります。
管理をするため、たまにはこないといけないです。
人によっては、土地や建物に縛られているように感じるかもしれません。
気持ちの問題ですが、縛られることを嫌う方もいます。
やりすぎて否定される可能性
先日、マンションを借り入れして購入したことを否定する判決が出ました。
極端に節税を求めた際に、財産の基本的な評価通達に従っていても、不公平という判断です。
節税を求めすぎると、否定されるリスクがあることがいえます。
向き不向きを考えて選ぼう
マンションを建設して相続税を下げることは可能です。
でも、相続をする方によって向き不向きがあります。
現金でもらうことが、一番納税しやすいです。
また、もめたときにもわけやすいです。
税金の大小に大きくこだわらず、もめないことに焦点を置く方も一定数います。
節税方法として伝統的なくらいよく使われますが、向き不向きがあることを理解しておきましょう。