開業費として節税になる?開業届を提出する前の事業所得の経費

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執筆者小嶋 晃弘

◆国際基督教大学卒、大阪府立大学大学院経済学研究科修了。税理士、MBA、宅地建物取引士。国際営業、経理、労務、採用、人事、IT管理など幅広い分野での実務経験があります。 ◆税理士の顧問サービスの他、企業オーナーや個人事業主に対して資産運用コンサルティングや税務サポートを提供。金融教育の重要性を感じ、税務関連の執筆活動にも取り組んでおり、税務に関する書籍や記事を執筆しています。 ◆プライベートでは、2人の男の子の父。趣味は水泳、読書、カメラ、アニメで、休日には息子たちと一緒に自然を楽しんでいます。

2023年4月28日

今回は「開業届を提出する前の事業所得の経費は、開業費になり節税になる」というテーマで書いてみたいと考えています。

事業を始める際には、開業費用がかかりますが、実はこの開業費用を節税する方法があります。それは、開業届を提出する前に支払った事業所得の経費を開業費用として計上することです。この方法であれば、事業を始める前から経費を減らすことができます。では、具体的な方法や注意点について見ていきましょう。

開業費とは何か?

開業費とは、個人事業主が事業をスタートするにあたって必要な特別な支出を指します。例えば、開業に必要な事前準備費用や開業前に購入した事務用品費や広告費用、開業前に事業のためにかかった交通費や宿泊費などが含まれます。開業費は税務上、所得を圧縮できるのでとても大切です。

仕訳の例も見ておきましょう。

日付借方貸方摘要
4月28日開業費5,500円現金5,500円事務用品費 文具・コピー用紙一式購入費用

なお、こまめに記帳をしておきましょう。こちらは悪い例です。このように記載してしまうと、なにが何やら混じってしまいます。確かに記帳内容としては「開業費」です。しかし、ごっちゃになってしまうと後々かなり困ることになります。

日付借方貸方摘要
4月28日開業費11,0000円現金11,0000円文具・コピー用紙一式購入費用、書籍代、マイク購入、ディスプレイ購入、HDMI配線購入…
良くない例

開業費は節税に大きく貢献できるため、正しい理解と計上が必要となります。

個人事業主が負担する開業費の種類と範囲とは?

個人事業主が負担する開業費の種類と範囲について紹介しましょう。個人事業主が開業するために支出する費用は、多岐にわたります。資産計上されるもの以外の費用です。具体的には、家賃、消耗品費、通信費用、広告宣伝費用、法定費用、保険料などなど、なんでもといっていいです。

ただし、注意が必要なのは、資産計上されるものは含まれないということです。

いい例は、10万以上するパソコンです。この場合、1年で急にすべてを費用にすることはできません。そのため、きちんと固定資産として分けて記帳する必要があります。その他によく出てくる例として、敷金や礼金です。これは、もともと資産として計上されていくものです。また、商品の仕入れ代金も同様に開業費にできません。

開業費で節税に活用する方法とは?

開業費は、覚えなくていいのですが「繰延資産」に該当します。繰延資産は、会計では5年で均等に費用にしていきます。しかし、税法では好きなときに費用にできます。

例を挙げましょう。500万円の利益が出たときに、手元にある開業費50万円をすべて一度に費用として計上し直すことも可能です。そうすると、500万円ー50万円=450万円。

この段階の所得税率を20%とざっくり仮定すれば、10万円の所得税が減ります。

個人で10万円を例にすれば、節税効果が大きいです。そのため、しっかりと把握しておくことが大切です。そのためには、帳簿付けを丁寧に行い、開業費の内訳を明確に把握することが求められます。先程説明した通りです。個人事業主は、自己負担が多いため、節税効果を最大化するために、開業費や経費の計上に力を入れることが必要となります。

開業費を使って節税効果を得るためには、任意償却を上手に活用することが大切です。開業費は繰延資産に計上し、開業後に償却し、経費として計上することができます。任意償却は、事業年度内に任意の金額を償却することができ、課税所得を低減する効果があります。また、開業費を効果的に活用するためには、開業時の経費はきちんと帳簿付けを行い、必要な証明書類を用意することが大切です。開業費をうまく活用することで、節税効果が生まれ、事業の資金調達や事業拡大に役立ちます。

開業届を提出した後も開業費を計上できるのか?

できません。開業費はあくまで開業する前までです。開業をしたかどうかは、開業届の提出で判断します。

比較をしておきましょう。開業前に支出した事務用品の費用はこのように開業費でした。

日付借方貸方摘要
4月28日開業費5,500円現金5,500円事務用品費 文具・コピー用紙一式購入費用

開業をした後はどうなるかというとこのように届けます。

日付借方貸方摘要
4月28日事務用品費5,500円現金5,500円文具・コピー用紙一式購入費用

違いは、好きな年の費用としてとっておけない点です。事務用品費は、あくまで今年の費用として計上しなければなりません。

パソコンや経費に関する開業費の例とは?

パソコンや経費は、個人事業主が開業前に支払うことが多い開業費の例です。パソコンは、現代のビジネスに欠かせないツールの1つであり、事前に購入することが一般的です。

パソコンは開業費になるのでしょうか。これは、金額次第です。10万円未満であれば、開業費に含めてかまいません。この金額はちょっと安いパソコンを想定します。

例えば、Chromebookを買った場合です。これは10万円未満ですから開業費で大丈夫です。

しかし、MacbookAirを買ったとしましょう。この場合は、10万円以上なので、開業費には含められません。

ホームページの作成費用はどうか?

広告費は、10万円未満であれば、開業費でかまいません。

日付借方貸方摘要
4月28日開業費99,000円現金99,000円ホームページ作成費用

もし、10万円以上であれば、ソフトウェアのように、別に資産計上して減価償却する必要があります。

保険料も開業費に含まれるのか?

開業費には様々な費用が含まれますが、短期であれば、保険料もその中に含まれます。なお、長期の場合は、開業費に含められません。例えば火災保険をかけるときに2年や3年分を払う場合があります。この場合、さきほどのソフトウェアやパソコンのように、別に資産計上して処理をしていくこととなります。

上手に仕訳して節税しよう

初年度から個人事業主が利益が出ないこともあります。そういうときに大幅に赤字を出すよりも、開業費を上手に計上して、その後の税金を減らすようにしましょう。

分からないことがあれば、弊事務所のサービスもご利用ください。

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