葬儀を行う際に領収書を保管するべきなのは、その後の相続税の申告や他の家族へ立替を証明する際に役立ちます。
しかし、領収書がもらえない費用があるときはどうすればいいでしょうか。
領収書がもらえない費用の例
お寺での戒名代やお心づけに対して領収書をもらえないのはなぜなのでしょうか。
それは、宗教関連の収入であり、対価ではなく謝礼と認識しているからです。
謝礼という名称にとらわれず、対価に対するサービスがあるかを検討します。
例えば、弁護士や税理士に講演会の依頼をした際の謝礼は、講演というサービスをもらった対価です。
しかし、お寺の場合、宗教活動に伴う喜捨金と認識されていて、サービスの対価とは考えないという性質があります。
お賽銭に領収書をもらいませんよね。
その考え方で、領収書をもらえないことが多いです。
戒名、心付け、お布施、オルガニスト?
葬儀でかかる費用が控除できる件
戒名や心付けは、「葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用」として控除の対象です。
ただし、通常の金額でありあまりにも高額な支払いをした場合には控除対象にならないことも注意しましょう。
お布施
お布施についても「葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用」として、控除が可能です。
オルガニスト
キリスト教式などの場合に、オルガニストや聖歌隊にお礼を支払うことがあります。これも、「葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用」として控除が可能です。
記録をしておく
領収書をもらえない場合、どのように対応したらいいでしょうか。
それは、記録をしておくことです。
例えば以下のような内容です。
- お寺などの名称
- 所在地
- 連絡先
- 金額
- 支払日
- 内容
記録をしておくことで、後々の計算に使うことができます。
人が亡くなったときは、バタバタしているため、細かな記録がおろそかになることがあります。
注意して記録を残しておきましょう。
根拠の法律確認
なお、何でもかんでもが相続税の計算から差し引ける対価ではありません。
次のものになりますので、記録の際には、内容にも注意をしておきましょう。
遺産総額から差し引く葬式費用は、通常次のようなものです。
(1) 葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。)
(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3) 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)
(4) 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5) 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
また、初七日や四十九日についてはこちらの記事も参照してみてください。
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