日本には報酬税(remuneration tax)があるのか?

てんむすび税理士事務所|英語対応・ITに強い税理士|大阪市都島区 | 日本には報酬税(remuneration tax)があるのか?
てんむすび税理士事務所|英語対応・ITに強い税理士|大阪市都島区 | 日本には報酬税(remuneration tax)があるのか?

執筆者小嶋 晃弘

◆国際基督教大学卒、大阪府立大学大学院経済学研究科修了。税理士、MBA、宅地建物取引士。国際営業、経理、労務、採用、人事、IT管理など幅広い分野での実務経験があります。 ◆税理士の顧問サービスの他、企業オーナーや個人事業主に対して資産運用コンサルティングや税務サポートを提供。金融教育の重要性を感じ、税務関連の執筆活動にも取り組んでおり、税務に関する書籍や記事を執筆しています。 ◆プライベートでは、2人の男の子の父。趣味は水泳、読書、カメラ、アニメで、休日には息子たちと一緒に自然を楽しんでいます。

2023年9月6日

2023年9月6日

日本には報酬税はないのでしょうか? 今日は報酬税について、基本的なところを考えてみたいと思います。

報酬税とは?

“Remuneration tax”は、特定の報酬や収入に対して課される税金を指す一般的な用語で、具体的な内容や税率は国や地域によって異なることがあります。この語を特定の税制度として使用する国や地域もあれば、単に報酬に関連する税金として非公式に使用する場合もあります。

日本において、remuneration taxの直訳は報酬税です。
しかし、報酬税という税金は存在しません。しかし、類似の側面は所得税に存在します。
所得税の中の源泉所得税です。

所得税の源泉徴収

報酬に関して、支払いをする際に支払わなければならない税金です。この点の税金は、依頼主Aが、サービスをしてくれた人Bに対して支払いをするときに、源泉所得税の部分を差し引いて支払うことになります。これは、所得税の前払い部分です。そして、その差し引いた部分をAが基本的に翌月10日までに納税します。

誰が収めなければならないの?

会社や事業をしている人です。会社や個人だけではありません。
給与などの支払をする学校や官公庁、人格のない社団・財団なども源泉徴収義務者になります。

ただし、一部の人は除かれます。

  • 常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与を支払っている個人
  • 給与所得について源泉徴収義務を有する個人以外の個人が支払う弁護士報酬など

よく支払いが忘れられることは問題点です。
忘れられた場合どうなるのでしょうか。

それは、預り金をしなければならない人が負担をして納付することになります。
預かり忘れ部分を回収し損ねることがあるので、ここはかなり注意をしてほしいです。

どんな報酬が対象なの?

具体例を見てみると分かりやすいはずです。
例を挙げましょう。

  1. 作家などに支払う原稿料や講演料など
    ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が50,000円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
  2. 資格を持つ人などに支払う報酬・料金
    例:弁護士、公認会計士、司法書士等
  3. プロ野球選手などに支払う報酬・料金
    その他の例:プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員
  4. 映画出演の報酬
    その他の例:演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  5. 契約金
    プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
  6. 競馬の賞金
    広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

他にもありますが、分かりやすいところを例にしています。

どうして、このように前受部分として預かっておくのでしょうか?
それは、これらの報酬が足が早く、預かっておかなければ、納税原資として保持されないことが多いからです。

まとめとして

日本には、remuneration taxの直訳は存在しません。
その代わりに源泉所得税として、所得税法で確認されています。

源泉所得税の対象になるかどうか、国をまたぐと複雑な場合もあり、注意が必要な点です。

以上の情報が少しでもお役に立てたら嬉しいです。

ご興味がありそうな他の記事はこちらです。

個人事業主が知っておくべき貸倒損失の基礎知識と計上方法

個人事業主が知っておくべき貸倒損失の基礎知識と計上方法

事業をしていると、売掛金の未回収、つまり「貸倒れ」に悩むことがあるかもしれません。特に個人事業主の場合、時間も限られ、未回収の売掛金が資金繰りに与える影響は大きくなりがちです。その対応には労力がかかり、場合によっては事業全体に悪影響が及ぶこ...