誰が消費税を払う?輸入代行業で、消費税払いのもめごとを減らそう

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執筆者小嶋 晃弘

◆国際基督教大学卒、大阪府立大学大学院経済学研究科修了。税理士、MBA、宅地建物取引士。国際営業、経理、労務、採用、人事、IT管理など幅広い分野での実務経験があります。 ◆税理士の顧問サービスの他、企業オーナーや個人事業主に対して資産運用コンサルティングや税務サポートを提供。金融教育の重要性を感じ、税務関連の執筆活動にも取り組んでおり、税務に関する書籍や記事を執筆しています。 ◆プライベートでは、2人の男の子の父。趣味は水泳、読書、カメラ、アニメで、休日には息子たちと一緒に自然を楽しんでいます。

2023年9月7日

2023年9月7日

輸入代行という仕事をされている方もいるでしょう。
海外とやり取りする際には、その取引について、どのように消費税がかかるかを確認する必要があります。

というのも、消費税は輸入をする際には避けられないものであり、それを負担するものかどうかは、ビジネスに直接的な影響があるからです。

輸入消費税は誰が支払うか

輸入消費税を支払わないといけないのは誰でしょうか。
それは、貨物を引き取った人が支払わないといけません。

今回の取引を輸入者Aのあなたが行っているとします。
輸出した人がB、そして、貨物輸送業者のFがいるとしましょう。

輸出した国では日本の消費税はかかりません。
しかしながら、条文上、輸入をされたものについて、輸入時に消費税を払うことになっています。

これは、日本に輸入されるということは、日本国内で消費がされるものだということが明らかと考えるからです。

よって、輸入時にまずは、Fが輸入消費税を支払います。
これは、引き取る人が払うからです。

このときのFの仕訳はこんなイメージですね。

日付借方貸方
9月 7日立替金5万円現金5万円

そして、これを受け取ったあなたは、その他の費用と合わせてこの消費税を支払います。
輸出側が輸送費を負担しているとすれば、貨物の取り扱い手数料くらいがかかります。

日付借方貸方
9月 10日仮払消費税
支払手数料(非)
5万円
2千円
現金
5.2万円

金額は仮のものですが、こんなイメージですね。

輸入した人が国内で引き渡しをした場合

Aであるあなたが、今度は、Cにこの商品を販売したとしましょう。
「CIP A倉庫」といった形です。

そうですね、5.2万円で仕入れたと簡単に仮定して、これを6万円税別で販売します。
そうすると、これに消費税を上乗せして請求します。

日付借方貸方
9月 10日売掛金
6.6万円
売上
仮受消費税
6万円
6千円

これで、消費税の受けと支払いが終わっています。
この取引を1000回したとしましょう。

仮払消費税は

日付借方貸方
12月31日仮受消費税
未収消費税
600万円
4,400万円
仮払消費税
5,000万円

支払いが多いので、未収消費税は近々還付がされます。
なお、課税期間を分けることによって、この手元の消費税負担を早めに解消する方法もあるでしょう。

単なる代行業者の場合

もし、今回の販売がBからCへの直接のやり取りだった場合はどうでしょうか。
「CIP C倉庫」という場合はどうでしょうか。

この場合の輸入者のConsigneeとして、Cが書いてあるはずです。
この場合は、商品の引き渡しに関して、Aが関与していませんから、商品に消費税をかけるのはおかしいです。

また、少し微妙なのですが契約書上で国際貨物の引き渡しを前提に記載をしている場合は、国内で渡すとしても消費税を商品にかけるのは、おかしな感じを受けます。

この辺りは、貿易の実務経験がないと微妙なところです。
これまで経験した取引で、国際貨物の引き渡しにもかかわらず、強引に消費税を請求してくる輸入業者の方がいました。

税法を守る立場から考えれば、比較的おかしな取引が貿易内で見られるいい例です。
消費税は、有利不利を超えて、お金のやり取りが先に発生するので、もめやすいです。
契約時点で、必要なことははっきりさせておくといいでしょう。

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