給与所得控除見直し?政府税制調査会の提言でサラリーマン増税

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執筆者小嶋 晃弘

◆国際基督教大学卒、大阪府立大学大学院経済学研究科修了。税理士、MBA、宅地建物取引士。国際営業、経理、労務、採用、人事、IT管理など幅広い分野での実務経験があります。 ◆税理士の顧問サービスの他、企業オーナーや個人事業主に対して資産運用コンサルティングや税務サポートを提供。金融教育の重要性を感じ、税務関連の執筆活動にも取り組んでおり、税務に関する書籍や記事を執筆しています。 ◆プライベートでは、2人の男の子の父。趣味は水泳、読書、カメラ、アニメで、休日には息子たちと一緒に自然を楽しんでいます。

2023年7月11日

はじめに

給与所得控除の見直しは、多くのサラリーマンにとって重要な問題となっています。政府税制調査会は、給与所得控除の見直しに関する提言を行いました。今回の提言は、サラリーマンにとって増税の可能性があるため、注目を集めています。以下では、給与所得控除の見直しの背景と問題点、そして政府税制調査会の提言について詳しく見ていきます。

給与所得控除の見直しの背景と問題点

給与所得控除は、サラリーマンの収入に対して適用される税金控除の一つです。給与所得控除の意義は2つあります。

  • 勤務費用の概算控除
  • 他の所得との負担調整のための特別控除
佐藤英明『スタンダード所得税法(第2版)』(弘文堂、2017年)181ページ。

    したがって、概算控除の考え方や他の所得との負担調整を見直す場合には、その額が変更されることがあります。

    一方で、給与所得控除は問題点があるとしてきされていました。いくつか上げてみます。

    • 現行の給与所得控除の額は、最低限の生活を送るために必要な費用をカバーしきれていない
    • 控除の額が低いために、サラリーマンの実際の給与に対する税金負担が増えていると感じる

    しかし、多用な働き方をする人が増えているため、給与所得控除に関係しない人が増加しました。それに伴い、給与所得控除の方が実際の控除額よりも多くなっているという指摘も出てきています。

    政府税制調査会の提言とは

    政府税制調査会は、給与所得控除に関する提言を行いました。提言の主な内容は以下の通りです

    主たる提言

    1. 給与所得者の必要経費と指摘される支出は給与収入の約3%程度と試算されている(給与所得控除によりマクロ的には給与収入総額の3割程度が控除されている)
    2. 主要国との比較においても全体的に高い水準で「勤務費用の概算控除」としては相当手厚い
    3. 給与所得、事業所得、雑所得といった所得間の課税上のバランスを確保し、働き方に中立的な税制を実現する観点から(2018年に給与所得控除をすでに10万円下げ、基礎控除を10万円上げている)

    政府税制調査会は、給与所得控除の見直しを提案しており、これによりサラリーマンの所得税が増税される可能性があると報じられています。この控除額が見直されることによって、サラリーマンの税負担が増加する可能性があります。

    提言は、より公平かつ適切な税制を実現するために重要な一歩かもしれません。しかし、サラリーマンにとっては増税の懸念でしかありません。また、役員給与においても、この控除が適用されるため、中小企業の役員にとっても影響があります。今後、政府の対応や議論の進展に注目が集まっています。

    サラリーマンへの増税での影響

    政府税制調査会の提言に従って給与所得控除の見直しがされると、結果的にサラリーマンの所得税が増税される可能性があります。具体的な影響は以下のようになります。

    1. タックスプランニングの必要性:給与所得に対する控除額が削減されることによって増税になり、給与所得以外の所得について検討する必要が出てきます。

    2. 生活費の見直し: サラリーマンの所得税が増税されると、手取り収入が減少します。家計に余裕がなくなることで、節約や支出の見直しが必要が出てきます。

    3. 消費活動への影響: 増税によって手取り収入が減少し、経済的な不安感や節約意識の高まりによって、消費行動が抑制されます。小売業やサービス業などのビジネスにとっても影響が出てきます。

    給与所得控除見直しに対する反対意見や批判

    政府税制調査会の提言に対しては、給与所得控除の見直しに反対する声や批判が存在します。以下はその一部です。

    • 負担増による生活の苦境: 給与所得控除の見直しにより、サラリーマンの所得税負担が増えるという主張があります。これにより、サラリーマンの生活において経済的な苦境が生じる可能性があると指摘されています。
    • 経済への影響: 給与所得控除の見直しにより、サラリーマンの消費力が低下し、経済活動への影響が出るとの懸念があります。特に、消費税増税と相まって、経済の景気低迷につながる恐れがあると指摘されています。
    • 公平性への疑問: 給与所得控除において、不動産から収入を得ている高所得者は影響を大きく受けない可能性があります。経済格差の拡大や社会的な不公平感が生じる可能性があるとの指摘もあります。
    • 労働者のモチベーション低下: 給与所得控除の見直しにより、サラリーマンの収入が減少することで、働く意欲やモチベーションが低下するとの懸念も存在します。

    給与所得控除の見直しに関する議論は、税制改革の一環として重要なテーマとなっています。政府や関係者は、この論点について慎重な議論を行い、税制の公平性と経済の持続的な発展を両立させるための解決策を模索しています。

    結論

    政府の給与所得控除見直しの意図と結果

    給与所得控除はこれまでも課題として出てきていました。事業所得に比べて控除額が少なく負担になっているという点です。

    これらに対応するように特別支出控除という名前で、費用が認められてきました。しかしながら、それが行き過ぎてバランスを欠いていると感じる税法学者もいるということでしょう。

    税理士としては、すでに課題としてあがってきていたものに対して話が上がっているという感じは受けています。

    今後の動向とサラリーマンへのアドバイス

    今後の動向を注視する必要があります。政府は税制改革を行う際に様々な要素を考慮し、経済や社会に与える影響を最小限に抑えるように努めるでしょう。サラリーマンとしては、以下のアドバイスを心に留めておくことが重要です。

    1. ファイナンシャルプランの見直し: 税金の増加によって家計に負担がかかる可能性があります。増税ということを今から意識してファイナンシャルプランを見直しましょう。

    2. 節約と賢い買い物: 税金の増加によって生活費が上昇する場合、節約や賢い買い物が重要になります。予算を立てて購買意欲を抑え、必要なものに集中することで経済的な余裕を確保しましょう。

    3. タックスプランニングの活用: サラリーマンとしては、タックスプランニングを活用することも重要です。事業所得などの多用な働き方を認める動きがあるため、きちんとした事業を営めば、経費として計算できる幅は広いといえます。

    今後の動向に注目が集まります。分かりましたら、このブログやYouTubeなどでお知らせをしていきます。

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