黄金株で承継する変化球は、なぜあまり好まれないか

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執筆者小嶋 晃弘

◆国際基督教大学卒、大阪府立大学大学院経済学研究科修了。税理士、MBA、宅地建物取引士。国際営業、経理、労務、採用、人事、IT管理など幅広い分野での実務経験があります。 ◆税理士の顧問サービスの他、企業オーナーや個人事業主に対して資産運用コンサルティングや税務サポートを提供。金融教育の重要性を感じ、税務関連の執筆活動にも取り組んでおり、税務に関する書籍や記事を執筆しています。 ◆プライベートでは、2人の男の子の父。趣味は水泳、読書、カメラ、アニメで、休日には息子たちと一緒に自然を楽しんでいます。

2022年12月7日

2023年2月21日

事業承継において、種類株式が取り出たされることがあります。
そのひとつに、黄金株というものがあります。

黄金株は通称であり、拒否権付種類株式といわれます。

決議に対して特別な権利を持っている株式と理解してください。

黄金株は、事業承継で株式を移動する際に上手に使えると言われます。
ただ、言われますというだけで、実際に提案をすると拒否感があります。

提案としてはできるのですが、実務内ではあまり人気がなさそうです。
なぜ、人気がないかを少しまとめてみます。

黄金株のよさ

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黄金株の良さは、株式数が少なくても拒否権を持てることです。
代表的な例として

  • 取締役・代表取締役の選任・解任
  • 取締役の報酬決定
  • 事業譲渡・合併

が挙げられます。

例えば代表取締役や取締役の選任、解任を考えましょう。
通常は、株式総会の過半数をもって決定がされます。

でも、黄金株で反対があれば、一株分の議決権しかなくても、その決議を決定させないようにできます。
石油会社などの買収に反対できるように経済産業大臣が1株持つように対抗策を持っている例からも、その有用性が確認できます。

株式数が少なくても反対できます。
だから、事業承継をしたい人が、株式を最小限だけ残して移動することができます。

1万株発行しているうち、8,000株を保有している状態があれば、このうち7,999株を早期に承継に出すことができます。

理論上はこれで合っているのですが、実際に黄金株の話をするとウケが悪いです。
その理由は、2つあると考えます。

理由1:リスクがわかりにくいからでは

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ひとつの理由は、わかりにくいからではないでしょうか。
何に対して反対ができるのか、列挙はされます。

限定列挙されたこと以外で困った場合、対応ができるのでしょうか。
経営をしていて、どんなときに困るのでしょうか。

困るかどうかわからない、何が起こるかわからないのに、減らせますでしょうか。
手元にあるお金と同じイメージしてみると、手元のお金が減るのは怖いですよね。
どのように使うのか、どんなリスクがあるのか、判断をしない上であれば、動けません。

このリスク算定が難しいから、さらによくわからない黄金株を使う気がしないのでしょう。
黄金株を使うにしても、どのようなリスクや状況が想定されるのか、困ったことが発生しないのか、具体的に移動させる人にイメージを持てるようにするべきです。

理由2:数の強さが影響力?減ることの怖さ

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数を減らすことが影響力を減らすことと感じるのも、その一因です。
減ることへの痛みは大きいですから、実際にはこちらの要因がつようです。
株式数が多いからこそ自信を持って、決定をしていたという経験があれば、そこから株式数を減らすのは心もとないですね。

議決権が拮抗している場合などは、株式数が少ないと実際に決定に困難が伴います。

ただ、オーナー企業の場合だと、株式数が減ったとしても影響力が保たれることもあります。
特に創業者であれば、承継する人が株式を持っていても、その影響力が担保されがちです。

理論的なものでもないですが、日本的な組織の中での空気がそうさせていると考えます。
現実問題の影響力を担保させたいかどうかは、考える点です。

また、影響力は来世へ持っていけないため、どこかでお終いになることも考える必要があります。
それが、まだ先なのか、今なのかはありますが。

不安を明らかにするきっかけにしよう

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黄金株を絶対に使ってほしいということはありません。
目的を達成するためのひとつの手段です。

ただ、どんな不安があるのか、どんな手法があるのかを考える一如にはできます。
ひとつの方法として、知っておきましょう。

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