貿易企業、輸出入を行う場合には、経理をしっかりする必要性があります。
当事務所では、税理士の目線も含めてアドバイスをしています。
国内取引でも気を使いますが、相手が海外になると取引の修正や案内をするのが難しくなります。また、資金回収の面でも気をつける必要が強くなります。そのため、経理を総合的に考えておく必要が出てきます。
この記事では、どんな論点を考えていくべきか、基礎的なところをまとめてみます。
為替予約
まず考えるべきは、取引における為替予約をどうするべきかです。
為替は、予約方法が複数あります。また、手元のドルを定期的にリスクヘッジとして調整しておくことも可能です。どれがいいかはやり方が選べます。
しかし、何もしないというのはいけません。
全量でなくて、一部であってもリスクヘッジをするべきでしょう。
どう記帳するべきか
為替予約をどう取るかと合わせて大切なのは、きちんと為替予約の記帳をすることです。
予約をしたけれどもうまく記帳できないと、後々の計算がおかしくなってしまいます。都度きちんと記帳して正確な税務計算につなげる必要があるでしょう。
また、為替予約の記帳に手間取ってしまうと、為替予約を細かくしようというモチベーションが下がります。きちんとフローを決めておくべき点です。
取引業者の役割を理解しているか
海外との取引をする場合に、経理処理で気になるのは、取引相手です。それぞれを必ず理解しておく必要があります。
買手
自分が商品を売っている場合には、買手の内容を正確に把握する必要があります。
経理業務と輸出貿易管理の業務が分かれている可能性はありますが、小規模な会社は画一の可能性があります。
このとき、相手先は取引相手として適当でしょうか。
日本国内であれば、単純に与信管理の判断が必要です。また、それと反社会的勢力かどうかを判断するのが一般的です。
では、海外の場合はどうでしょう。国内でいう反社会的勢力ではないか、しっかり確認しましたか。
当然与信管理をするとしても、情報を取るのに時間や費用がかかります。
一部の経営者は、輸出貿易管理令違反で実刑を受けていることがあります。
かなり注意をするべき点です。
売手
商品を仕入れる場合には、売手がどこか気になります。
ビジネスである場合には、保証の問題があります。
また、取引を締結するだけではビジネスは完結しません。
しっかりと商品がくるのか、来た商品がSPEC通りなのかも確かめるべき点です。
輸送業者
輸出や輸入の場合には、輸送業者がどこかの理解も必要です。
これは、国内で自分が依頼する場合もあります。
海外で、先方が勝手に選んだ取引先の場合もあります。
いずれにせよ、その会社との記帳内容を決めるためには、相手との関係性をきちんと把握する必要があるでしょう。
代理の受取手
海外に輸出をする場合に、商品の受手以外の人を指定して商品を受領する場合があります。
Notify Partyと表記されることが多いです。
通知が来た場合に、関係性が分かっているだけで英語の文章を大まかにしか読まなくても済むことがあります。
決済条件
海外と取引をする際に大切なのは、決済です。
失敗したからといって、取り立てにいくわけにはいきません。
最初から問題ない条件にしておく必要があります。
適切な条件になっているか
入金管理や催促も含め、適切な条件になっているか確認が必要です。
例えば、一部の商品は、商品受領後に作成するとしましょう。
しかし、いつまで経っても入金の通知がありません。
最終的な商品の利用時期も過ぎてしまうのであれば、作成しても意味がなくなってしまいます。
回収不能なものはないか
貿易の場合には、とりっぱぐれがないように、商品と引き換えにすることが多いです。その場合、よく使われるのはL/C決済です。
そのL/C決済の中身は適切でしょうか。
というのも、がんじがらめにすればするほど、L/Cの費用が膨らみます。
中東などを例に、保証銀行が多い場合で決済手数料が馬鹿高くなります。
一部を送金ベースに振り返られないかなど、打てる手は、国内の経理以上に存在します。
前金・L/C
前金やL/Cなどの手段の他に、そのタイミング把握が取引上とても大切です。
傍観していると、適切なタイミングを逃して取引自体を駄目にします。
国内経理以上に役割が大きなところです。
インコタームズと決済条件は別
インコタームズをしっかり把握しているでしょうか。
インコタームズは輸送上の費用負担と危険負担をはっきりさせる、貿易慣習上の取り決めです。
インコタームズに規定されているのと、厳密には異なる名称が使われていることが実はあります。
また、決済条件はインコタームズとはちょっと違います。
しっかり分かっておかないと、取引上で苦労します。
売上計上のタイミングを把握しているか
いつ売上を計上するべきでしょうか。
売上計上のルールは、国内税法と合わせてきっちりと行うべきです。
後々、売上漏れを指摘されたケースがあり、裁判にもなっています。
面倒なのは、時期が変わると、国内取引と異なり為替レートも変わることがあることです。
そうすると、かなりの確率で、大きな修正を求められることとなります。
おそらく、国内取引だけの会社に比べてかなりストレスが出ます。
そうならないように、売上計上タイミングを理解しておきましょう。
貿易を税理士が見た場合に考えたい消費税
ここでは簡単にですが、消費税について工夫ができる場合があります。
特に輸出の場合には、消費税の負担を早期に精算することで資金上有利にできることがあります。
インボイス制度の影響がないかも、最近では気になる点です。
貿易ができる税理士が考える会計の基礎まとめ
貿易関連では柔軟な対応が求められることが多いです。
理論的には、別のインコタームズを使った方がいいけれども、相手との交渉がうまくいかないということもありえます。
こういうときは、税務会計の他に、当事務所に個別に相談をしてもらえると何かしらのアドバイスをすることが可能です。
貿易について税理士アドバイスの他に、営業的な目線からも検討をするようにいたします。
実際に、顧問の方からは、お問い合わせをもらってから、どういう初動で対応するべきかや、取引の分岐を含めた流れの確認でご連絡をもらうことがあります。
個人での輸出入をされている方や貿易会社からの相談・顧問のご依頼も多いです。
気になる方は、ぜひお問い合わせください。